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水ぼうそうワクチン、追加接種は「1歳6カ月~2歳」に

 2012年05月23日 10:29

 日本小児科学会は5月21日、水痘(すいとう=水ぼうそう)ワクチンの2回目の推奨接種時期について「5歳以上7歳未満」から「18カ月以上2歳未満」に早めることなどを、公式サイトで明らかにした。わが国同様に水ぼうそうが流行していたドイツのスケジュールを参考にしたという。このほか、国立感染症研究所とNPO法人「VPDを知って、子どもを守ろう。」の会(VPDの会)も最近、水痘ワクチンの2回目の接種時期を「1歳3カ月~5歳」に変更することを発表している。

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1回接種による有効率低い

 日本小児科学会、感染研、VPDの会では、水痘ワクチンの1回目の接種を1歳以降から行うよう推奨している。ただし、2回目の接種推奨時期は「5歳以上7歳未満」(日本小児科学会)、「3~6歳」(VPDの会)とされていた。

 日本小児科学会によると、(1)日本の最近の研究で、水痘ワクチンの1回接種での有効率が低いだけでなく、接種後1年程度で水ぼうそうにかかる割合が上昇する、(2)1回接種で1年間に水痘ウイルスへの感染が認められなかった子供への2回接種で、1回接種を大きく上回る"ブースター効果"が確認された―ことなどが明らかになってきたという。これを受け、同学会は「小児への水痘ワクチン接種が十分に行われておらず、水痘の流行が抑制されていないわが国の現状では、同様の状況にあったドイツのスケジュールを参考に2回目の接種時期を18カ月以上2歳未満(初回接種後4~12カ月後)に変更した」と述べている。

 なお、同学会は、ヒブワクチンの4回目の推奨接種時期を「生後12カ月以降」に早めることも発表している。

病気にかかった際の負担あまり知られず

 水痘ワクチンは予防接種法上の定期接種に位置付けられていない、いわゆる任意接種だ。「接種率は約40%と決して高くない」とVPDの会の薗部友良理事長。しかし、日本では毎年約100万人がかかり、2,500人が入院、いまだに水ぼうそうそのものや合併症による死亡例も少なくないと推計している。こうした実態は医療関係者、保護者にあまり知られていないという。

 現在、予防接種法の改正が山場を迎えつつある。水痘ワクチンも定期接種化のレールに載せられてはいるが、現時点で政府が考える同ワクチンの優先順位は高いとはいえないようだ。

 一方、昨年、感染研が厚生科学審議会予防接種部会のワーキンググループで水痘ワクチンに関する概要書(ファクトシート)を作成している。そこでは、同ワクチンの費用対効果について「抗ウイルス薬による治療費は低廉(ていれん)とは言い難く、重症水痘による入院医療費は一般的感染症の中でも上位を占める」「直接的な医療費と予防接種費用の比較では、医療費がより安価。ただし、政策決定に重要な、家族の看護に伴う機会費用を含めると予防接種費がより安価。定期予防接種を推進することが社会的視点からは優れていることが明らかにされている」などの評価がまとめられている。

(編集部)

  • VPD......Vaccine Preventable Diseases=ワクチンを受けることで防げる病気。水ぼうそうのほか、はしか、おたふく風邪、結核、ポリオ、ヒブ感染症、インフルエンザなどが挙げられる。

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