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「ボトックス」は頭痛に効かない? 効果は限定的

 2012年06月12日 14:00

 日本では眼瞼(がんけん=まぶた)痙攣(けいれん)や片側顔面痙攣などの治療に使われているA型ボツリヌス毒素(商品名ボトックス)だが、米国では慢性片頭痛の予防治療に認可されている。しかし、ボトックスの頭痛に対する効果はそれほど大きくなく限定的との解析結果が、洛和会音羽病院(京都府)の栗山明氏ら日米共同研究グループにより、米医学誌「JAMA」(2012; 307: 1736-1745)に発表された。

反復性片頭痛では偽薬と差なし

 栗山氏らは、成人の頭痛予防に対するボトックスの有効性を、偽薬や他の薬と比較した臨床試験のメタ解析を行った。1カ月間の頭痛の頻度が15回未満を反復性、15回以上を慢性とした。

 解析の結果、ボトックスは偽薬と比べて慢性頭痛と慢性片頭痛の発生を減少させていた。しかし、その効果は月に2~2.5回程度の減少にとどまり、限定的なものだった。反復性片頭痛と慢性緊張型頭痛については、偽薬を上回る効果は認められなかった。

 ボトックスの片頭痛に対する効果は、日本では抗てんかん薬として認可されているバルプロ酸、トピラマート、同じく抗精神病薬として使用されているアミトリプチリンと差はなかったが、慢性緊張型頭痛の回数を減らす効果はステロイド薬のメチルプレドニゾロン注射より優れていた。

 ボトックスを投与されたグループは、偽薬を投与されたグループと比べて眼瞼下垂、皮膚のつっぱり感、感覚異常、頸部(けいぶ=首)硬直、筋力低下、頸部痛が多く見られたという。

(編集部)

  • メタ解析......過去に行われた複数の研究結果を合わせて解析し、より信頼性の高い結果を導く分析方法。メタアナリシス。

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