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歩行中や階段で息切れ...喫煙で起こるCOPD

 2012年06月22日 09:38

 中高年になり、速く歩いたり階段を上ったりするとき息切れがしたら、COPD(慢性閉塞性肺疾患)が疑われる。多くは、長期間の喫煙によって肺が破壊されて呼吸が苦しくなるもので、禁煙して早く呼吸器内科を受診すべきだ。

禁煙が最大の治療

 「COPDは、主にたばこの煙に含まれる有害物質によって肺の細胞や組織が長期間にわたって傷つけられ、肺の力が少しずつ低下し、せきやたんが出て息切れが起こる病気です」と、東京病院呼吸器科の寺本信嗣医長は説明する。

 COPDは、

  1. 気管支に炎症が起こる慢性気管支炎型
  2. 肺胞に炎症が起こる肺気腫型
  3. 両者の混合型

―の3種類に分けられる。

 最も多い肺気腫型は、たばこの煙で徐々に肺が壊され、肺を支えている梁(はり)の組織が消失するため肺がすかすか、ぼろぼろの状態になり機能しなくなってくる。そうなると空気をうまく吐けなくなって肺に空気が残り、肺が膨らんで苦しくなる。

 「最大の治療は禁煙です。低下した肺機能は完全には元に戻りませんが、禁煙と同時に病気の進行を緩めて少しでも肺を若返らせる薬を使います」(寺本医長)

60歳以上は検査を

 最近、効果の高い、気管支を広げる抗コリン薬やβ(ベータ)2刺激薬が使えるようになった。1日1回または2回の吸入で、肺の機能を若返らせることが可能となる。飲み薬、張り薬も症状に合わせて併用される。呼吸を支えている肩や首の筋肉をほぐして呼吸を楽にするリラクセーション、体調に合わせた運動療法などのリハビリテーションもある。

 COPDは、40年前後の長期にわたって少しずつ進行する。「60歳を過ぎて喫煙歴が10年以上の人は、症状がなくても一度検査を受けてください」(寺本医長)

 症状が進み、呼吸機能が著しく低下すると在宅酸素療法が必要になり、生活の質が損なわれることもある。

 「たばこの煙による害は、本人だけではなく周囲の人にも及びます。喫煙者の家族は喫煙者がいない家族に比べて、肺気腫や肺がんにかかる可能性が2倍以上高くなります。家族のためにも、一日も早く禁煙することを勧めます」と、寺本医長はアドバイスする。

(編集部)

2009年6月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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