レム睡眠行動障害の疑い例で軽度認知障害リスクなど増加
2012年07月09日 13:22
睡眠中に暴力を振るう「レム睡眠行動障害」。浅い眠りのレム睡眠中に、夢で行動する通りに体が動いてしまう病気で、本人だけでなく周囲の人にも影響する(関連記事)。この病気の症状が見られる人で、認知症の前段階である軽度認知障害やパーキンソン病を発症するリスクが高いことが、米メイヨー・クリニックのBrendon P. Boot氏(現ハーバード大学医学部)らによって米医学誌「Annals of Neurology」(2012; 71: 49-56)に報告された。
4年以内の発症リスク2倍
レム睡眠では脳が活動状態にある一方、筋肉は緩んだ状態になっている。ところがレム睡眠行動障害患者では、レム睡眠中にもかかわらず筋肉が覚醒した状態になっているという。
Boot氏らは、レム睡眠行動障害の可能性が高いと診断されたが、それ以外は神経学的に正常な人を対象に研究を行った結果、レム睡眠行動障害の可能性が高いとされた人の34%が、研究開始後4年以内に軽度認知障害またはパーキンソン病を発症し、この発症率はレム睡眠が正常な人より2.2倍高いことが分かった。
共同研究者で同クリニックの神経科医であるBradley F. Boeve氏は「現在のところ有効な治療法はないが、これらの障害を早期に判別することで、治療成功の可能性を最大にできる」と付け加えている。
同クリニックの患者を対象にした過去の研究では、レム睡眠行動障害患者の推定45%が、診断後5年以内に軽度認知障害やパーキンソン病などの神経変性疾患を発症することが示されている。
Boot氏は「今回の研究で重要な点は、確定診断された患者ではなく、レム睡眠行動障害の疑いがあることと関連するリスクが初めて数値化されたこと。少しの重要な質問をするだけで、神経変性障害の発症が予測できることを示している」と述べている。
(編集部)