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「原因不明の病気」でカンボジア渡航に注意情報―検疫所

 2012年07月09日 13:22

 厚生労働省検疫所は7月5日、「原因不明の病気」が発生しているカンボジア渡航に対しての注意情報を発表、「海外滞在中や帰国後に気がかりな症状が見られた場合、すぐに医療機関を受診」することなどを呼び掛けている。これは、7月4日に世界保健機関(WHO)とカンボジア保健省が「原因不明の病気による死亡が相次いで発生した」と発表したことを受けてのもの。この病気にかかった患者では高熱のほか、呼吸器症状の急速な悪化、神経症状が共通して見られ、今年4月から7月4日までで62人が発症、61人が死亡、最新情報ではさらに増加しているという。大半は3歳未満で、カンボジア南部および中央部での発生が確認されている。

鳥インフルやSARSなどは陰性

 WHOとカンボジア保健省の発表によると、原因不明の病気を発症した患者は高熱に続き、呼吸機能の急速な悪化を伴う呼吸器症状あるいは神経症状を発症している。

 当初発表された患者数は62人で、うち61人が死亡。しかし、疫学調査の開始とともに報告数はさらに増加し、WHOの6日の最新情報では、患者数は74人で57人(死亡例56人を含む)に風邪のような症状が見られたという。患者は首都プノンペン市内の小児病院などで治療を受けているが、懸命の治療にもかかわらず、多くの小児が入院24時間以内に死亡したと報告されている。

 患者の検体分析の第一報では、高病原性鳥インフルエンザ(A/H5N1)ウイルス、その他のインフルエンザウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルス、ニパーウイルスのいずれも陰性。原因となる病原体は、現時点で正式発表されていない。しかし、一部の海外メディアは、「患者の一部から手足口病の原因となるウイルス(EV71)が検出された」との関係者のコメントを報道している。

 EV71に関連する手足口病の流行は、日本を含むアジア地域で過去にも数回発生しており、急性脳炎や肺水腫、急性弛緩性麻痺(まひ)などの症状を呈して死亡した例が報告されている(参考:国立感染症研究所「感染症の話 手足口病」)。

 WHOは、6日の時点でカンボジア国内では手足口病のほか、デング熱、チクングニア熱も報告されており、「原因不明の病気」の特定にはしばらく時間がかかる見込みを示している。

「十分な額の保険加入を」

 厚労省検疫所は、海外滞在中や帰国後、気掛かりな症状があった場合はすぐに医療機関を受診し、渡航した地域などに関する情報を医師に伝えるよう勧告。また、帰国時に熱や症状のある場合は、検疫担当者に相談するよう呼び掛けている。

 なお、カンボジアの医療事情は「特定のプライベートクリニック(外来)では日本と同様の診療が可能だが、入院の場合、一部私立病院を除き劣悪な環境なので、バンコクまたはシンガポールに搬送される」(外務省)レベル。入院を必要とするけがや病気では、搬送にかかる航空運賃など高額な費用が発生するため、十分な額の海外旅行傷害保険への加入が必要としている。また、現地では病院の医師を含め、英語は通じにくく、フランス語でのコミュニケーションが可能な場合が多いという。

 外務省の在外公館医務官情報で、現地渡航前に推奨される予防接種の種類や、プノンペン市内で邦人の診療が可能な医療機関、医療に関する使える現地語など、詳しい情報を見ることができる。

(編集部)

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