椎間板ヘルニアの治療―体への負担少ない内視鏡下手術
2012年07月17日 09:42
椎間板ヘルニアの治療の基本は保存療法だが、手術もある。最近では、体への負担が少ない内視鏡下手術(MED法)も行われており、手術後の痛みが少なく翌日からの歩行も可能になっている。東邦大学医療センター大森病院(東京都)整形外科の高橋寛准教授に聞いた。
後方椎間板切除術も
椎間板ヘルニアは通常、3カ月程度、保存療法を行うことが勧められている。ただ、「症状が思ったように取れない、痛みがひどくて社会生活に支障があるなどの場合には期間にこだわらずに手術を検討してもよい」と高橋准教授。
現在行われている主な手術には、後方椎間板切除術とMED法がある。
後方椎間板切除術は最も広く行われている手術で、全身麻酔で背中の皮膚を約5センチ切開し、筋肉を骨から剥がしてヘルニアに近づき、肉眼かルーペで見ながら切除する。手術後3~4日で歩行ができ、入院期間は2週間程度だ。
MED法は背中を約2センチ切開して、外筒管という管を筋肉を分けつつ挿入する。外筒管内に内視鏡や手術用具を通し、モニター画面で患部を観察しながらヘルニアを切除する。全身麻酔で行うが多くは翌日から歩行が可能で、3~4日後には退院できる。
注意守らないと再発
MED法の最も大きなメリットは、筋肉を骨から剥がさずに済むので手術後の痛みが少ないことだ。とはいえ、目的は後方椎間板切除術と同じで、椎間板の出っ張った部分を切除すること。長期的な効果も両者間にあまり違いはない。
この手術は体への負担が少ないと言えるが、後方椎間板切除術と同じように「コルセットを3カ月間は装着する、体をねじるような運動は避けるといった注意を守る必要があります。そうでないと、再発したり悪化する可能性が高まります」と、高橋准教授は指摘する。
ただ、MED法を行っている医療機関はまだ少ない。日本整形外科学会では、脊椎内視鏡下手術で一定レベル以上の経験と技術を持った医師を「技術認定医」として公表しており、学会公式サイトで検索できるようになっている。
(編集部)
2009年8月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)