女性に多いシェーグレン症候群―目が乾燥し喉も渇く
2012年07月30日 09:42
シェーグレン症候群は、涙腺や唾液(だえき)腺に障害が起きる病気。あまり知られていないせいか、潜在患者が多いとみられている。適切な治療を受けるために、まずどんな病気なのか理解したい。鶴見大学歯学部(神奈川県)口腔(こうくう)外科の中川洋一講師に聞いた。
患者は約100万人
シェーグレン症候群は自己免疫疾患の一つ。普段は外敵から身を守っている免疫が自分の体を攻撃して起こるもので、同症候群では主に涙腺や唾液腺が壊される。全国で100万人近くの患者がいると推定されているが、この病気に気付いていないケースも多いようだ。
中川講師は「圧倒的に女性、それも50歳代以上の女性に多いのが特徴です。その原因は分かっていませんが、ホルモンの関与が考えられています」と話す。
最初は目の乾きや喉の渇きが主な症状だが、涙腺や唾液腺が壊されるため、二次的にいろいろな病気を合併しやすいという。
「唾液腺が壊されて唾液の分泌が低下すると、口の中の抗菌作用も低下して虫歯、歯周病、カンジダ症などを起こしやすくなります。また、涙腺が壊されて涙が出にくくなると、ドライアイや角膜炎、結膜炎につながります」(中川講師)
糖尿病と誤解する人も
さらに問題なのは、目と口の症状が同時に起きないケースがあること。「目の症状が強い場合は眼科を受診しがちです。逆に口の渇きが強い場合は、糖尿病ではないかと素人判断する人もいます」(中川講師)。このため、シェーグレン症候群を見逃して適切な治療を受けていない人もいる。
中川講師は「ドライアイを疑って眼科で治療を受けても改善しないとか、口の渇きがいつまでも続くような場合は、眼科と口腔外科がある病院を受診するとよいでしょう」とアドバイスする。
診断では、口唇生検といって唾液腺の破壊状態を診る検査や、唾液腺の造影検査、涙の量を測る検査、それに血液検査などが行われる。
(編集部)
2010年8月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)