メニューを開く 検索

トップ »  疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」 »  乗り物酔いの予防法、自己暗示も効果的

疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」一覧

乗り物酔いの予防法、自己暗示も効果的

 2012年08月01日 09:42

 車や船などの乗り物酔いはつらい。事前に酔い止め薬を服用したり、車の中でゲームはしないで、外の景色を見たりするなど予防策を講じるとよい。また、自己暗示も効果的だという。杏林大学医学部(東京都)耳鼻咽喉科の武井泰彦准教授に聞いた。

目と耳の情報に矛盾

 乗り物酔いはどうして起こるのか。乗り物に乗ったとき、脳はどんな状態にあるのだろうか。耳の奥にある三半規管や耳石器は、乗り物の加速や傾きをキャッチして脳に知らせる。一方、目からも体の位置や動きに関する情報が脳に伝えられる。

 乗っている人が前方のシートを見詰めていたり、手元のゲームに夢中になっていたりすると、耳からは「動いていますよ」という情報が伝わるのに対して、目は「止まっていますよ」と脳に報告することになる。

 武井准教授は「このように目からの情報と耳からの情報に矛盾が生じると脳の中は混乱します。その結果、吐き気がして、生つばや冷や汗が出るなどするのです」と指摘する。

予防の基本は酔い止め薬を飲む

 乗り物酔いをしやすいのは、小学校高学年から中学生ぐらい。大人になると、乗り物の体験も積むので少なくなる。ただ大人でも神経質で胃腸が弱い、貧血気味、自律神経が不安定といった人は酔いやすい。また睡眠不足で疲労していたり、体調を崩していたりすると酔うことがある。

 予防法の一つは、出発前に酔い止めの薬を飲むことで、敏感になりがちな神経の働きを和らげてくれる。ゲームをしない、外を見るのほかに、暗示をかけるのも有効だ。「今日は絶対に酔わないぞ、と自己暗示をかけるのです。子供に『お母さんがそばにいるから絶対大丈夫よ』と励ますのもよいでしょう」(武井准教授)

 症状が出てしまったら、車の窓を開けて新鮮な空気を入れたり、可能なら車を止めて頭を動かさないようにシートで休んだりして、症状が治まるのを待つようにする。

 「乗り物酔いは病気ではなく、正常な反応です。心配なら医師に相談するのもよいでしょう」と武井准教授は話している。

(編集部)

2010年3月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

ワンクリックアンケート

大阪万博まであと1年

トップ »  疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」 »  乗り物酔いの予防法、自己暗示も効果的