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全身が痛む線維筋痛症、痛みの程度測る装置も

 2012年08月17日 09:42

 線維筋痛症は全身に慢性の痛みが起こる病気で、日本では約200万人の患者がいるとみられる。認知度が低いため、うつ病や気のせいとされるケースもあるが、最近は痛みの程度を測定できる装置が開発され、より的確に診断できるようになっている。

風が吹いても痛む

 線維筋痛症は体の広い範囲で慢性的に痛みが続く原因不明の病気。聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター(神奈川県)の岡寛・副センター長は診断基準について次のように話す。「全身18カ所の圧痛(押すと痛む)点のうち11カ所以上、あるいは広範囲な痛みが3カ月以上続くことが基準です」

 ひどい場合は風が吹いても痛むという。こうした痛みが続けば当然眠れなくなり、精神的にも落ち込む。

 「そのため、うつ病と診断され、適切な治療を受けられないケースもみられます。3カ月以上、体の広い範囲で痛みが続く場合は線維筋痛症という病気があることを念頭に、リウマチ科を受診してください。最近は電気刺激によって痛みを数値化できる装置が開発されているので、より的確に診断できます」(岡副センター長)

早期なら治癒例も

 この装置は数値が多いほど痛みが強いことを示す。帯状疱疹(ほうしん)などで焼け付くような痛みを訴える人でも数値は「300」を超える程度だが、重い線維筋痛症の女性では平均で「400」以上にも達する。

 治療は病態に即して抗うつ薬、痛みを抑えるセロトニンやノルアドレナリンを活性化するノイロトロピン、筋肉の興奮を抑える抗痙攣(けいれん)薬が併用される。

 「早期に適切な治療を受ければ、7~8割の人は改善しており、治癒した例もあります。早期発見による早期治療が大切です」(岡副センター長)。一方、日常生活では症状を悪化させるものを避けるようにしたい。

 「この病気はストレスや外傷が誘因になります。発症後もストレスは症状を悪化させるので解消するのが第一です。同様に寒冷も良くないので、寒い季節の外出時にはしっかり防寒する、家にいるときは湯たんぽを利用するなどして体を冷やさないように」と、岡副センター長は助言している。

(編集部)

2010年11月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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