メニューを開く 検索

トップ »  疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」 »  大人の鼠径ヘルニア、太ももの付け根辺りが膨らむ

疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」一覧

大人の鼠径ヘルニア、太ももの付け根辺りが膨らむ

 2012年08月23日 09:42

 太ももの付け根辺りが膨らむ鼠径(そけい)ヘルニアは、子供ばかりでなく大人にも多い病気だ。上都賀総合病院(栃木県)の十川康弘院長(外科)は「太ももの付け根に膨らみや違和感があったら、ためらわず外科を受診して」と強調する。

横になると引っ込む

 鼠径ヘルニアは、いつとはなしに鼠径部(太ももの付け根)にしこりのような膨らみが現れる。膨らみは立つと飛び出るが、横になると引っ込むという特徴があり、重苦しいような違和感や軽い痛みを伴うこともある。放っておくと、だんだんと膨らみが大きくなり症状が強まることが多い。

 この病気は脱腸とも呼ばれているように、本来ならおなかの中に収まっているはずの大腸や小腸などが、それらを覆っている腹壁から皮膚の下にはみ出てくる病気。女性では卵巣や腹水がはみ出ることもある。

 ほとんどの場合、命に関わることはないが、はみ出した腸などが腹壁の出口部分で締め付けられ元に戻らなくなることがある。これを嵌頓(かんとん)ヘルニアといい、痛みが強まる。腸などの血流が悪くなって命に関わることもあるので、緊急手術が必要だ。

通常3~4日の入院、日帰り手術も

 治療は、はみ出した腸などをおなかの中に戻し、出口をふさぐ手術以外にない。現在はほとんどポリプロピレンなどの合成繊維のメッシュ(網)で穴をふさぐ手術が行われる。メッシュの形状や入れ方によって幾つかの異なる方法があるが、通常、3~4日の入院で済み、日帰り手術も可能。再発率は1~5%と低い。上都賀総合病院ではさらに改良した方法で行っているが、入院期間や再発率は同程度だ。

 いずれの手術も鼠径部などを5~6センチ切開する。一方、同じメッシュを用い、腹腔(ふくくう)鏡で手術を行う医療機関もある。術後の復帰はデスクワークや家事なら3~4日後、立ち仕事は1週間~10日、重い物を持つ仕事なら2週間後からが目安。

 十川院長は「恥ずかしい病気と思われていたり、手術が必要な病気とは知らなかったりして、受診していない人が少なくありません。違和感や痛みがあれば言うまでもなく、膨らみだけでも気になるようなら、悩みを解消するために手術を勧めます」と助言する。

(編集部)

2010年3月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

ワンクリックアンケート

グーグルマップに医療機関への不当な投稿問題、どう考える?

トップ »  疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」 »  大人の鼠径ヘルニア、太ももの付け根辺りが膨らむ