遅刻・欠勤などは危険信号、働き盛りのうつ病
2012年08月24日 09:42
働き盛りの人が、仕事や人間関係のストレスからうつ病を発症することがある。「憂うつ、食欲がない、眠れないなどがあったら、医師に相談を」と横浜労災病院(横浜市)勤労者メンタルヘルスセンターの山本晴義センター長は呼び掛ける。
背景に会話不足
うつ病は、脳の神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンの働きが落ちて起きると考えられている。気分が落ち込む、悲しくなる、何かするのがおっくうになる、よく眠れないなどのほか、頭が重い、肩が凝るなどの身体症状もある。食欲や性欲の低下も見られる。
「私が診る外来患者さんの3分の2は勤労者で、そのうちの半数くらいはうつ症状絡みです。頑張り屋で仕事熱心、きちょうめんな人がかかりやすいようです」(山本センター長)
従来は40~50歳代が多かった。しかし最近は、20~30歳代も珍しくなくなってきており、女性の数も男性に劣らないという。
「原因として、上司や同僚と社内でのコミュニケーションが少なく、お互いに言葉を通した日頃の気配りが足りないことなどが考えられます。人員削減による過重労働などの影響もあります」(山本センター長)
飲酒量も増加
治療の基本は休養だ。併せて薬物療法も行われ、神経伝達物質の働きを高める抗うつ薬が使われるが、休養だけで症状が軽くなることもあるという。最近ではカウンセリングの中で、認知行動療法が行われることもある。
上司や同僚が見て分かるうつ病の危険信号は、
- 仕事上のミスが増える
- 遅刻、早退、欠勤が増える
- 周囲としゃべらなくなる
- 飲酒量が増える
―などだ。
山本センター長は「前段階では疲労や疲弊感もあるので、思い当たるようなら会社の産業医、あるいは精神科や心療内科を受診してください」と勧めている。
横浜労災病院では、ストレスに悩む勤労者からの相談を専門家が対応する「勤労者 心の健康相談」を設置している。相談方法は、電子メール(mental-tel@yokohamah.rofuku.go.jp)もしくは電話(045-470-6185、午後2~8時)で。また、厚生労働省のポータルサイト「こころの耳」には、全国の相談機関をはじめメンタルヘルスに関する情報が掲載されている。
(編集部)
2010年6月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)