メニューを開く 検索

トップ »  疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」 »  鉄分の過剰摂取が糖尿病リスクに 中国解析

疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」一覧

鉄分の過剰摂取が糖尿病リスクに 中国解析

 2012年10月15日 11:04

 貧血の予防などに鉄分は必須だが、過剰な摂取は肝硬変や心不全など内臓の病気を引き起こす。その1つとしてこれまでも指摘されてきた糖尿病に対するリスクについて、中国・華中科技大学同済医学院のWei Bao氏らが、動物性食品のみに含まれるヘム鉄の過剰摂取によって2型糖尿病リスクが上昇することが示されたと、10月10日付の英医学誌「BMC Medicine」(電子版)に発表した。一方、非ヘム鉄を含む全鉄では、こうした関連が認められなかったという。

1日1ミリグラム増加でリスクが1.16倍に

 Bao氏らは、2012年4月22日までに報告された計449本の論文を評価し、そのうち11本についてメタ解析を行った。

 その結果、ヘム鉄を過剰摂取しているグループで糖尿病リスクが1.33倍上昇したが、全鉄では上昇が確認されなかった。なお、解析対象のうち1つの研究では、全鉄を摂取していたグループの多くが非ヘム鉄摂取グループだったという。また、ヘム鉄では1日当たりの摂取量が1ミリグラム増えるごとに糖尿病リスクが1.16上昇したが、全鉄では上昇が示されなかった。

 さらに、体内に蓄積された鉄分が最も高いグループは、最も低いグループに比べて糖尿病リスクが1.70倍上昇したことも分かった。これは、鉄分の蓄積に関連する炎症マーカーの影響を除外しても変わらなかったという。

「鉄分の食事摂取基準値の再考が必要」

 今回の解析結果について、Bao氏らは「ヘム鉄を多く摂取している人では、摂取量が少ない人と比べて糖尿病リスクが有意に高まることが認められた」と結論。一方で、「全鉄(非ヘム鉄)ではこうした関連は確認されなかった」と続けた。

 また、「強力な酸化作用を持つ鉄は、膵臓(すいぞう)のβ(ベータ)細胞を攻撃する可能性が示されていることなどから、鉄分の過剰摂取と糖尿病リスクの関連は妥当と言える。しかし、そのメカニズムは十分に解明されていない」として、さらなる研究の必要性を指摘した。

 さらに、主に植物性食品に含まれる非ヘム鉄に比べ、動物性食品にのみ含まれるヘム鉄は体内への吸収率が高いことで知られるが、Bao氏らは「普段から鉄分の摂取が多い国の人々などでは、特に食事摂取基準値を再考する必要がある」と訴えた。

(編集部)

  • メタ解析......過去に行われた複数の研究結果を合わせて解析し、より信頼性の高い結果を導く分析方法。メタアナリシス。

ワンクリックアンケート

大阪万博まであと1年

トップ »  疾患・健康ニュース「あなたの健康百科」 »  鉄分の過剰摂取が糖尿病リスクに 中国解析