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若い人に多い「アトピー白内障」、進行早く網膜剥離合併も

 2012年10月29日 17:25

 アトピー性皮膚炎の増加に伴い、「アトピー白内障」になる人が増えている。若い人に多く、高齢者に起こる白内障に比べて進行が早い点が特徴で、網膜剥離を合併する危険性もあるという。東京医科大学眼科の森秀樹講師は「アトピー性皮膚炎の人は気を付けてほしい」と呼び掛けている。同講師に、アトピー白内障の注意点などを聞いた。

皮膚炎自体も原因に

 アトピー白内障は、アトピー性皮膚炎の症状が顔、特に目の周りに強く出る人に多い病気。森講師は「アトピー性皮膚炎の人の15~24%に見られると報告されています。原因は二つあり、一つは目の周りがかゆいのでかいたり、たたいてかゆみを抑えようとしたりするためです。もう一つは、白内障が起こる水晶体は、皮膚と同じ外肺葉という組織でできており、アトピー性皮膚炎自体が原因になると考えられています」と説明する。

 問題は、加齢に伴う白内障に比べて進行が早く、1週間ほどで全く見えなくなるほどの視力低下を招いたりすること。

 「網膜剥離を合併しているケースも少なくありません。そうなると治療が難しくなるので、アトピー白内障という病気があることを念頭に置き、早期発見を心掛けるべきです」(森講師)

視力低下など起こる

 アトピー白内障は、高校生から大学生に多い。森講師は「アトピー性皮膚炎があって、視力の低下や光がまぶしいといった症状を自覚したときには、眼科を受診してください」とアドバイスする。

 治療は混濁した水晶体を取り除き、人工の眼内レンズを挿入する手術が基本だが、手術で視力を回復しても術後のケアが必要となる。

 「手術後、顔の皮膚炎がひどくなって目の周りをたたくと、眼内レンズがずれることがあります。視力が回復しても安心しないで、皮膚炎の治療を徹底してください」(森講師)

 これはアトピー白内障の予防にも通じる。「白内障というと高齢者の病気と考えがちですが、アトピー性皮膚炎があると若い人でも起こりやすいということをよく理解して」と森講師は呼び掛けている。

(編集部)

2010年11月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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