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乾癬の新治療、有効性高い生物学的製剤

 2012年10月31日 17:25

 皮膚病の一つ乾癬(かんせん)は、重症例では治療が難しい面があったが、2010年1月から生物学的製剤という薬を使った新しい治療法が用いられるようになった。東邦大学医療センター大橋病院(東京都)皮膚科の向井秀樹教授は「有効性は非常に高いのですが、治療費が高額で副作用の心配もあるので、医師とよく話をしてから受けてください」と助言する。

赤く盛り上がる

 乾癬は皮膚の表皮が赤く盛り上がり、表面がかさぶたになってフケのように剥がれるとともに、炎症を伴う皮膚疾患。頭、おなか、肘や膝などにできやすく、進行すると全身に拡大する。時には、手の指や膝、腰などの関節に炎症が生じ、関節リウマチと似た症状が出るケースもある。

 「原因は不明ですが、最近の研究で免疫系の異常によって炎症が起こることが分かってきました。また、体内から分泌される「腫瘍壊死(えし)因子」(TNF-α)という炎症を起こす物質が、大量に乾癬の発生部位に認められてもいます。このため、この物質が炎症の元凶になっていると考えられています」(向井教授)

 こうしたことから、重症例では生物が作り出した抗TNF-α抗体というタンパク質を利用した生物学的製剤を注射する治療法が行われるようになった。

結核や肺炎の恐れも

 この製剤はリウマチ治療薬の一種だが、メリットは乾癬の治療薬としても有効性が高い点。ただ、重篤な副作用の早期発見や治療のため、使われているのは大学病院などの高次医療機関だけになる。「この製剤を注射すると、結核や細菌性肺炎など感染症にかかりやすいという面もあるのです」(向井教授)

 乾癬は命に関わる病気ではないが、皮膚症状が人の目にさらされるなど日常生活での精神的苦痛は大きい。

 向井教授は「一般的には、症状に応じてステロイドやビタミンD3の外用剤、さらにはビタミンA誘導体や免疫抑制薬の内服などの治療が行われますが、これらの治療で改善しない場合は、生物学的製剤の特徴を十分に理解した上で、かかりつけの医師に相談し、この治療法を行っている病院を紹介してもらうとよいでしょう」とアドバイスしている。

(編集部)

2010年11月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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