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COPDの認知度を50%に、産学連携プロジェクト発足

 2012年11月01日 09:41

 日本医師会や日本呼吸器学会などは、慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD、関連記事)の認知度向上などを目指し、「COPD啓発プロジェクト」を発足した。2013年から始まる次期「国民健康づくり運動プラン(健康日本21)」でCOPDが"発症予防と重症化予防に取り組む非感染性疾患"に加えられたことを受けてのもので、現在25%のCOPD認知度を2016年までに50%まで引き上げる活動を展開するという。10月30日に東京都内で開かれた記者会見では、有名俳優陣を起用したテレビCMの放映など具体策を発表した。なお、11月14日は「世界COPDデー」。

認知度低いが死亡率は上昇傾向

 同プロジェクトの発起人には、髙久史麿氏(日本医学会会長)、福地義之助氏(GOLD日本委員会委員長)、工藤翔二氏(複十字病院院長)、西村正治氏(日本呼吸器学会理事長)、今村聡氏(日本医師会副会長)らが名を連ね、代表は永井厚志氏(日本呼吸器学会「COPDガイドライン」作成委員長)。関連学会や関連製薬企業の協力もあり、同プロジェクトは産学が連携する初のCOPD啓発活動となる。

 わが国のCOPD患者数は現在、推定500万人以上とも報告されているが、その多くは診断や治療にたどり着いていないという。しかし、COPDによる死亡率は年々上昇の一途をたどっている。

 COPDは、初期段階では無症状だが、進行すると次第に息切れを起こすようになる。息切れの症状は70歳以上で多く見られるため、団塊の世代が70歳代になるまでのこの5年間で何らかの対策を講じないと、患者および医療費の増大が懸念される。このことから、永井氏は会見で「この5年間がわが国の医療の転換期となる」と指摘した。

 健康日本21でCOPDが、がんや心臓病、糖尿病に続いて"発症予防と重症化予防に取り組む非感染性疾患"に加えられ、国として対策強化に乗りだしたのは、上記の懸念があるためだ。

「あなたの肺は何歳ですか?」テレビCMで大規模啓発

 健康日本21では、現在の認知度(17%、厚労省発表)を2022年までに80%に向上させることを目標としている。一方、COPD啓発プロジェクトではまず、2016年までに現在の認知度(25%、GOLD日本委員会調べ)を50%に引き上げ、最終的には80%を目指すという。目標達成に向けてテレビCMや新聞を活用し、国民に向けた大規模な啓発活動を展開。また、日本医師会のネットワークを介し、医師にも啓発活動を行っていくとしている。

 同プロジェクトは「あなたの肺は何歳ですか?」「早期発見は、肺年齢チェックから」と呼び掛けるテレビCMを制作し、11月1日から全国で放映予定。COPDの患者役に俳優の徳井優さん、医師役に女優の長谷部瞳さんを起用。テレビCMの監修は、慶応大学医学部の別役智子教授(呼吸器内科)が務めた。

 別所教授は「せきや階段を上るときの息切れなどの症状から、本人や家族にCOPDを疑ってもらうことがテレビCMに込めた重要なメッセージ」とし、症状の演技指導に熱が入ったと話している。

(編集部)

  • GOLD...「The Global initiative for Obstructive Lung Disease」の略。COPDの研究・教育・啓発を推進する世界的な団体。日本委員会は一般社団法人。

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