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鼻毛抜いて高熱、悪寒、腫れ...「丹毒」の可能性

 2012年11月14日 11:47

 鼻毛を抜いたところ、夜間に発熱と悪寒に襲われ、鼻と頬が赤く腫れ上がった45歳男性―。ドルトムントの皮膚科医Rudolf Schulte Beerbühl氏は、この症例について「丹毒を発症していた」とドイツ版「Medical Tribune」に報告するとともに、丹毒について解説した。

急性期から4~6週間後に心臓と腎臓の検査を

 丹毒は、微小な傷口からでも体内に侵入できる連鎖球菌(β溶血性連鎖球菌)が原因のことが多く、主に耳や尻、足の指の間の皮膚病変が侵入口となる。そのため、肥満の糖尿病患者で水虫を合併している場合や、乾癬(かんせん)患者で耳や尻をかきむしっている場合は特に感染リスクが高い。また、手術後やリンパ浮腫などの患者も簡単に感染してしまうことが多く、庭仕事などの後に発症する例も珍しくないという。

 Beerbühl氏は、治療に関して「抗菌薬を投与する。第一選択薬はペニシリンだが、ペニシリンアレルギーの患者にはニューキノロン系などの抗菌薬(ジャイレース阻害薬)を使用する」と説明。水疱(すいほう)や血疱(けつほう)を伴うような重症な人には、入院してもらって静脈注射を行う必要がある。また、敗血症や腎炎など合併症の早期発見のためには、丹毒の急性期から約4~6週間後に心臓と腎臓の検査を行うことも忘れてはならないとしている。

 この45歳男性の例でも、感染が海綿静脈洞(脳の基幹部にある大きな静脈)にまで及ぶ恐れがあったことから、Beerbühl氏は直ちに入院を指示。しかし、患者が入院を拒んだため経口ペニシリン製剤を14日間投与した。その結果、症状はすぐに消えた。

 連鎖球菌は、初期治療が効いた場合でもリンパ組織内に残って再発するリスクがあるため、この男性にはさらに1年間、ベンジルペニシリンの筋肉注射を定期的に行っているが、これまでのところ再発は認められていないという。

(編集部)

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