病巣に放射線を集中照射―脳腫瘍のガンマナイフ治療
2012年11月22日 11:47
脳腫瘍の治療法に、病巣に放射線を集中的に照射するガンマナイフがある。患者が苦痛を感じることなく病巣を狙い撃ちできるという。そのメリットやデメリットについて、さいたまガンマナイフセンター(埼玉県)の四方聖二氏に聞いた。
転移性に適用多い
ガンマナイフによる治療は、コバルト60という放射性同位体から出る201本のガンマ線を特殊な装置によって病巣の一点に集中するように照射し、脳腫瘍などの増殖を抑制する放射線療法だ。
「最大のメリットは、患者さんが苦痛を感じることなく病巣を狙い撃ちできる点です。いろいろな脳疾患に適用できますが、最も多いのは転移性脳腫瘍です」(四方氏)
転移性脳腫瘍は体のどこかにがんができ、それが脳に転移したもの。ガンマナイフによる治療は、磁気共鳴画像診断(MRI)とコンピューター断層撮影(CT)で病巣を確認後、コンピューターで放射線量を計算し、ほぼ自動的にガンマ線を照射することができる。
「現在は3人に1人ががんで死亡するといわれ、転移性脳腫瘍が増えていますが、その治療成績は手術など従来のものと変わりません」(四方氏)
ただし、どの脳腫瘍にも行えるわけではない。腫瘍の部位、サイズ、個数などで治療対象になるかどうか判断する。
脳の働き低下も
例えば、腫瘍が手術で安全かつ簡便に摘出できるような部位にある場合なら手術が行われる。
「腫瘍のサイズが直径約3センチ以下、個数は10個以下がガンマナイフ適用の目安になっています。部位、サイズ、個数で照射時間は異なりますが、通常は早ければ15分、長くて3~4時間です。適用条件が合えば、かつては諦められていたケースでも治療できるようになっています」(四方氏)
一方、デメリットは病巣が大きい場合、ガンマ線の照射によって病巣の周囲に一時的にむくみが生じる点。このため、脳の働きが一時的に低下するケースがある。こうした点を理解し、希望する人はかかっている医師に相談するとよいという。ガンマナイフ治療は、現在、全国で50を超える病院で行われている。
(編集部)
2009年12月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)