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治りにくい腰痛では疑いも、血液のがん「多発性骨髄腫」

 2012年11月27日 11:47

 多発性骨髄腫は血液のがんの一つだが、腰痛で見つかることが多い。東京医科大学病院血液内科の後藤明彦講師は「高齢者に多く見られる病気で、60歳代後半から70歳代が発症のピーク。決して少ない病気ではありません」と警告する。

貧血などの症状も

 多発性骨髄腫とは、骨の中の骨髄で、形質細胞(細菌やウイルスを防ぐ抗体という物質を作る血液細胞)が悪性の腫瘍になる病気。つまり、血液のがんだ。

 骨髄腫が塊になって骨に浸潤していくと、骨が溶かされ、神経を圧迫したり骨折を起こしたりする。このため、痛みやしびれが起きる。こうした症状は、体重を支えている腰椎に起こりやすいが、どの骨でも起こり得るという。骨折は寝たきりのきっかけになるので大きな問題だ。

 また、赤血球や白血球、血小板、そしてこれら血液細胞の基になる幹細胞などができにくくなるため、貧血の症状(疲れやすさ、動悸=どうき=、息切れ)が表れ、免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなる。

 さらには、異常なタンパク質が沈着するため、腎臓、心臓、消化管などの臓器に障害が起きてくるという。

治療法は進歩

 この病気は、骨のレントゲン検査、血液検査、尿検査、骨髄検査などを行えば診断がつく。

 治療は、日本ではまず、抗がん薬とステロイド薬の併用が基本だ。若い人であれば、患者自身の血液(幹細胞)を冷凍保存し、骨髄腫を抗がん薬でたたいた後、幹細胞を体に戻す「自己末梢(まっしょう)血幹細胞移植」を行うことがある。これらで効果がない場合、サリドマイドやボルテゾミブという治療薬を使う。

 後藤講師は「完治しにくい病気ですが、治療法は年々進歩しています。腰痛にはいろいろな原因があって、なかなか治らない腰痛はこの病気の可能性もあります。腰痛があったら放っておかず、整形外科などで正しく診断してもらうことが大切です」と注意している。

(編集部)

2009年10月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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