冷水摩擦による鍛錬療法、子供のぜんそく症状を緩和
2012年11月28日 11:47
乾布摩擦のような肌の摩擦は、昔から健康に良いとされてきた。「タオルを使って肌を摩擦することは、子供ならぜんそく症状の緩和や風邪を引きにくくするなどの効果があります。ただ、乾いたのではなく、ぬれたタオルでの摩擦がよいでしょう」と、杉本こどもクリニック(埼玉県)の杉本日出雄院長は冷水摩擦を奨励する。
乾布だとかゆみが
ぬれたタオルでの摩擦を勧める理由として、杉本院長は「寒くなると肌は乾燥肌になります。そして乾布で肌を摩擦すると静電気が起こり、かゆみが出るのです。だから少しぬらしたタオルでの摩擦がよいのです」と説明する。
水でぬらすと冷たいと感じるならお湯でもよい。タオルを固く絞って上半身の胸や腕、背中などを少し赤くなるくらいにこする。朝と夜、風呂上がりに1~3分ほど行う。顔はこすらなくてもよい。
「赤ちゃんは、お母さんが着替えのとき手でマッサージするとよいでしょう。長期間、長続きすることが大切です」(杉本院長)
風邪予防や快眠効果も
肌の摩擦の効用は、ぜんそく症状の緩和で確かめられている。「気管支ぜんそくの子供は、気管支が非常に敏感です。肌を摩擦して刺激を与えると、自律神経の作用で敏感な気管支が緩やかになって、ぜんそくの発作が抑えられると言われています」(杉本院長)
日本アレルギー学会専門医でもある杉本院長は、ぜんそくの子供の治療として肌の摩擦や運動、生活習慣の改善などを組み合わせた鍛錬療法を実施して効果を上げている。同院長が以前に鍛錬療法を行った子供を対象に聞き取り調査をしたところ、8割以上が「風邪を引きにくくなった」「快眠できるようになった」と答えたという。
冷水摩擦のコツは、(1)楽しく行う、(2)家族全員で行う、(3)長続きさせる―こと。「小さいときだけでなく、成長しても続けると健康に役立つでしょう」と、杉本院長は助言している。
(編集部)
2009年10月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)