シャンプーやリンスで皮膚炎、髪の生え際に湿疹
2012年11月29日 11:47
接触皮膚炎の原因物質は多いが、意外に見落とされやすいのがシャンプーやリンス。それが原因とは気付かずに使用を続けることが多く、ごく弱い皮膚炎から始まり慢性的に続くので、アトピー性皮膚炎など他の皮膚病と間違えやすい。的確な治療を受けるためには、まず病態の理解が必要だ。
全身に広がることも
東京医科歯科大学医学部皮膚科の高山かおる講師は、シャンプーやリンスによる接触皮膚炎について次のように話す。「使っているうちに香料や保存剤などにアレルギーを獲得してかぶれを起こすタイプと、シャンプーやリンスの界面活性剤による刺激性で生じるタイプがあります。いずれにせよ、最初は額や首などの頭髪の生え際に近い部位の皮膚に赤い斑点や湿疹が生じるケースが多く見られます」
特に、アトピー性皮膚炎などで皮膚の防御機能が低下している人に起こりやすいという。「症状の出る部位や皮膚の反応が似ている脂漏性皮膚炎やアトピー性皮膚炎と間違われる人もいます。その結果、ステロイド剤の外用薬で症状は改善するのですが、外用薬の塗布をやめるとぶり返すケースが頻繁に見られます」
ひどくなると湿疹が全身に広がり、まるでアトピー性皮膚炎のような状態になることもある。そうなる前に適切な対応が望まれる。
ほかのものに変える
「まず、こうした接触皮膚炎があることを理解し、ある物質に対して皮膚が反応を起こすかどうかを見るパッチテストのできる皮膚科専門医を受診すべきです」と高山講師。
シャンプーやリンスが原因と疑われる場合は、使っているものでパッチテストを行う。陽性の判定が出て診断が付けば、使っているシャンプーやリンスを皮膚への刺激の少ないものに変更するか、他の種類のものに変えるのが治療の基本。それとともに症状に対しては、保湿剤や弱いステロイド外用剤が用いられる。
また、高山講師は「天然や薬用と表示があると安全だと誤って認識していることが多いが、そういう商品でも接触皮膚炎は起こり得るので注意を」と助言している。
(編集部)
2011年2月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)