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パーキンソン病患者・家族は皮膚・前立腺がんの高リスク

 2012年12月04日 10:51

 脳内の神経伝達物質(ドーパミン)が不足し、運動障害を起こすパーキンソン病(関連記事)。日本では12万人以上がこの病気に悩まされているといわれる。また、血縁者が発症しやすい点も特徴だ。米ユタ大学医学部のSeth A. Kareus氏らは、米ユタ州の家系データベースと同州全体のがん登録パーキンソン病とがんの関連を検討した結果、パーキンソン病患者とその親族では、皮膚がんのうちの悪性黒色腫(メラノーマ)と前立腺がんを発症するリスクが高く、これらのがん患者では同様にパーキンソン病を発症するリスクが高いことが分かったと、米医学誌「Archives of Neurology」(2012; 3: 1-6)に発表した。

遺伝的関連を検討

 Kareus氏らは、ユタ州の1904~2008年の死亡届から死因がパーキンソン病の2,998人を選び、さらに同州のがん登録からがん患者10万817人の情報を収集し、パーキンソン病患者とその親族のがんリスクを推算した。

 その結果、パーキンソン病患者とその親族では、メラノーマまたは前立腺がんのリスク上昇が認められた。

 逆に、メラノーマと診断された7,841人、前立腺がんと診断された2万2,147人についてパーキンソン病による死亡リスクを検討した結果、前立腺がん患者とその親族、メラノーマ患者とその親族のいずれも、パーキンソン病にかかるリスクが高いことが分かった。

 死亡したパーキンソン病患者のうち48人でメラノーマが、212人で前立腺がんが確認された。死亡したパーキンソン病患者のメラノーマリスクは1.95倍と高く、死亡したメラノーマ患者のパーキンソン病リスクも1.65倍と高かった。これは、前立腺がんでも同様の傾向が認められたという(それぞれ1.71倍、1.39倍)。

がん検診にも影響か

 Kareus氏らは「今回の結果は、パーキンソン病と特定のがんと神経変性疾患の間に、共通の遺伝的なリスクがあることを示している。皮膚がんと前立腺がんの検診をどう行うかにも、影響を与える可能性がある」と結論した。

 米メイヨー・クリニックのWalter A. Rocca氏は、同誌の付随論評で「今回の知見とこれまでの研究結果を総合すると、同じ遺伝的素因を持っていても、パーキンソン病を発症する人もいれば、認知症や筋萎縮性側索硬化症(ALS)、不安障害、抑うつ障害を発症する人、さらにはメラノーマや前立腺がんを発症する人もいることが示唆された」と説明している。

(編集部)

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