夜尿症のアラーム療法―早ければ1~2週で効果
2012年12月06日 11:47
子供の夜尿症の治療法として、アラーム(警報)療法が注目されている。「効果は早くて1~2週間、遅くても3カ月ほどで表れます。再発も他の治療法より少ないのです」と、京都府立医科大学大学院医学研究科の河内明宏准教授(泌尿器外科学)は話す。
薬の効果は半数
夜尿症とは、5歳以上で月2回以上の夜尿が続く状態を言う。頻繁なおねしょのことで、2回以上の夜尿を毎日繰り返すこともあれば、昼間に尿を漏らすこともある。
「受診した子供のうち2~3%は成人まで夜尿が続きます。原因は、膀胱(ぼうこう)に尿がたまっても起きられない尿意覚醒障害、睡眠中の尿の量が多い夜間多尿、睡眠中の膀胱のサイズが小さい睡眠時膀胱容量の低下の3つが複合したものといわれています」(河内准教授)
治療は一般に薬物療法が中心となる。抗利尿ホルモンや三環系抗うつ薬、抗コリン薬などが使われ、治療効果は40~50%。薬をやめると再発することが多く、食欲不振、嘔吐(おうと)、不眠などの副作用もあることから、継続して治療を続けることが難しい。
膀胱容量増大か
河内准教授がアラーム療法に取り組み始めたのは、20年ほど前から。欧州では一般的な治療法で、夜尿の水分を感知してアラームが鳴る装置を就寝時に子供の下着に付ける。
アラームが鳴った時にはすでに尿は漏れているのだが、大抵の子供はアラームに気付かず起きないため、親が起こしてやる必要がある。続けていくうちに、夜尿の時間帯が夜中から明け方へと移っていき、漏らす尿の量も減り、朝まで持つようになり、治っていくという。
「アラームが尿意覚醒を促すというよりも、睡眠中のぼうこう容量が増大すると考えられています。なぜこうした作用があるのかはまだ分かっていないのですが、保護者が積極的に治療に臨むケースほど効果が得られやすいのです」と河内准教授は話している。
(編集部)
2011年2月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)