目が覚める中途覚醒―ストレス、加齢、うつが関与
2012年12月25日 11:47
寝付きは良いのに、夜中に目が覚め、眠れなくなる中途覚醒。生活習慣を正すことで症状は改善することもある。東京医科大学睡眠学講座の井上雄一教授は「特殊な検査もあり、治療を受ける場合は睡眠専門の医療機関で」と勧める。
寝酒は逆効果
不眠症というと、入眠障害を思い浮かべがちだが、実際は中途覚醒の方が多い。精神的ストレスを抱えた状態で眠ると、眠りが浅くなるために中途覚醒が起こりやすい。加齢による体内リズムの変化やうつ病なども影響する。中途覚醒が頻繁になると、眠っても疲れが取れず、昼間の集中力が低下する。
対処法としては、リラックスすることが大切で、適度な運動や入浴などが効果的だ。飲酒は中途覚醒しやすくなるので、就寝前の飲酒は避けた方がよい。
薬物治療では、効きめが長時間続く睡眠薬がよく使われる。井上教授は「効果が翌日まで持ち越さないように、薬剤の種類や服用時間を調節することが重要です」と指摘する。
無呼吸でも発症
中途覚醒が慢性になって、睡眠薬では十分な治療効果が得られにくくなると、薬以外の治療法が必要になる。井上教授によると、うつ病などの治療で注目される認知行動療法も不眠症に対して効果的だという。認知行動療法では、考え方のくせを修正して行動することで覚醒傾向を軽くしていく。
また、睡眠の途中で呼吸が断続的に止まる睡眠時無呼吸症候群、手足のピクつきやけいれんなどが起こる周期性四肢運動障害、歯ぎしりなどによっても睡眠が中断されることがある。いずれも本人は気付きにくく、家族などに観察してもらわなければ発見は難しい。
睡眠時無呼吸症候群、周期性四肢運動障害によって中途覚醒が起こっているのであれば、原因疾患の治療が必須だ。
井上教授は「中途覚醒の診断や治療は、特殊な検査や治療器具が必要になる場合があるので、睡眠専門の認定医がいる医療機関の受診を勧めます」と助言する。認定医と所属医療機関は、日本睡眠学会の公式サイトに載っている。
(編集部)
2011年12月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)