アスピリンで肝がんが予防可能に? 肝臓病による死亡も減
2013年01月23日 10:18
アスピリンを服用すると肝臓がん(肝細胞がん)の発症が低下すると、米国立がん研究所のVikrant V. Sahasrabuddhe氏らが同研究所の機関誌「Journal of the National Cancer Institute」(2012; 104: 1808-1814)に発表した。肝炎や肝硬変など慢性の肝臓病による死亡も減少したという。
アスピリン以外の痛み止めでは認められず
アスピリンを含む非ステロイド抗炎症薬(NSAID=痛み止め)は、多くのがんのリスクを軽減させるものの、肝臓がんの発症や慢性肝疾患による死亡への影響はこれまで検討されてこなかった。
Sahasrabuddhe氏らは、食事と健康に関する研究に登録した50~71歳の男女30万504人のデータを解析し、アスピリンまたはアスピリン以外のNSAIDを服用することと、肝細胞がん診断や慢性肝疾患による死亡との関係を検討。追跡中に250人が肝細胞がんと診断され、428人が肝細胞がん以外の慢性肝疾患で死亡した。
年齢や性別、人種・民族、喫煙と飲酒習慣、糖尿病などの影響を除外した結果、アスピリンを服用していたグループでは、そうでないグループと比べて肝細胞がんリスクが41%低く、慢性肝疾患による死亡リスクも45%低かった。
一方、アスピリン以外のNSAIDを服用していたグループでは、そうでないグループと比べて慢性肝疾患による死亡リスクが26%低下していたが、肝細胞がんリスクの低下は認められなかった。
(編集部)