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インフルワクチン回避に使われる「5つの言い訳」と「反論」

 2013年01月24日 10:18

 米国では現在,インフルエンザの流行が続いており,一部の地域でワクチンや抗ウイルス薬の不足も報じられている。一方,米国保健信託(TFAH)は最近のインフルエンザワクチンの不足について「接種率低下に伴い,企業が生産量を減らしたことが原因の一つ」との報告を発表している。米バンダービルト大学医学部のThomas R. Talbot氏らも,1月18日発行の米医学誌「JAMA」(電子版)で,米国でのインフルエンザワクチン接種率の低さを指摘。同氏らはインフルエンザワクチン接種の回避に使われる代表的な5つの言い訳を挙げ,その多くは根強い誤解だと述べている。

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接種率約30%は「容認し難い低さ」

 米国では現在,一部の例外を除く生後6カ月以上の全ての人に年1回のインフルエンザワクチン接種が推奨されているほか,疾病対策センター(CDC)が公式サイト上でワクチンを接種できる医療機関や薬局の検索サイトを提供するなど,積極的に接種を働き掛けている。

 しかし,2008/09年シーズンの18~64歳のインフルエンザワクチン接種率は28.2%。Talbot氏らは「中でも、基礎疾患を持つリスクの高い人や,そうした人たちへ感染させてしまう恐れの大きい医療関係者の接種率は、容認し難い低さだ」と述べている。

 同氏らは人々がインフルエンザワクチン接種を拒否する理由には共通性があるが,いずれも誤った認識が含まれていると指摘する。5つの言い訳と同氏らが示す反論の概要は次の通り。

言い訳その1:「インフルエンザワクチンは効かない」

反論:「他の一般的なワクチンほど有効ではない」は「有効ではない」とは違う。ワクチンの株(ウイルスの型)と流行している株が合致すれば,重症化の予防が期待できる。ワクチン株と流行株の不一致による問題を解決するため,ユニバーサルワクチン(ウイルスの型によらず一定の効果が発揮できるワクチン)の登場が望まれるが,これは現在のワクチンを接種しない理由にはならない。

言い訳その2:「ワクチンでインフルエンザになる」

反論:現在,米国で使用されている経鼻生ワクチン,不活化ワクチンのいずれもインフルエンザウイルスの感染は起こさない。経鼻生ワクチン接種者からの二次感染も現時点で報告されていない。臨床試験でも,ワクチン接種群で全身反応の発生が高いとの結果は示されていない。確かに、接種後にインフルエンザ様症状が起きる,あるいは,インフルエンザと確定診断されることもあるが,他のウイルス感染やワクチンによる抗体上昇が起こる前にインフルエンザにかかることによるものと考えられる。

言い訳その3:「卵アレルギーがある」

反論:アナフィラキシー(全身に現れる急激なアレルギー症状)のような重篤なアレルギー反応を持つ場合は接種を避けるべきだが,最近のエビデンス(科学的根拠となる研究結果)に基づく指導要綱では,そうした重度のアレルギーの場合を除いて,全ての卵アレルギー患者は十分な注意の上で,ワクチンを接種しなかった場合のリスクと接種によるリスクの妥当性を判断すべきとの見解が示されている。ただし,卵成分にさらされるで血管浮腫や呼吸窮迫,エピネフリン(ショック症状を軽減する緊急治療薬)の使用、救急受診の経験がある場合はアレルギー専門医に相談すべき。

言い訳その4:妊娠,医学的問題,または免疫不全の人との同居を理由に接種しない

反論:妊娠や臓器移植歴などの状態にあることが、まさにインフルエンザによる合併症のリスクが最も高いといえる。長年,こうした人々へのワクチン接種は安全かつ,重症化や死亡を予防できるとして推奨されている。

言い訳その5:「今までインフルエンザにかかったことがない」「健康に問題ない」

反論:この言い訳は、ワクチン接種の最も大きな理由の一つを見落としている。健康な人の中には、今までインフルエンザに感染しても典型的な症状を経験したことがない人もいるかもしれないが,そうした状態でも他の人にウイルスを感染させる可能性がある。自分のリスクが低いという理由でワクチン接種を拒否するのは,ワクチン接種ができない人やワクチンによる十分な抗体上昇が得られない人など、他の人のリスクを無視することにほかならない。

(編集部)

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