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喫煙率減少から20年、たばこ関連死の変化は? 米国

 2013年01月28日 10:18

 米国がん学会のMicheal J. Thun氏らは、1950年末から50年間の米国における喫煙関連死の推移を1月24日発行の米医学誌「New England Journal of Medicine」(電子版)に報告した。米国では1日当たりのたばこ消費量が男性では1970年代に、女性では80年代にピークを迎え、その後はともに減少の一途をたどっているが、この20年間の喫煙関連死の変化は明らかになっていなかった。

女性が男性並みに

 Thun氏らが対象としたのは、米国がん学会が1959~88年に実施した2研究および、2000~10年に追跡を行った5研究の計7件。各研究の追跡期間(1959~65年:60年代、1982~88年:80年代、2000~10年:2000年代)で、55歳以上の人の喫煙関連死のリスクを解析した。男性に遅れて喫煙率が上昇した女性は、男性よりも禁煙が難しい要因などから累積喫煙年数が増加しつつあると同氏ら。今回の解析の主な目的として、女性のリスクがどの程度男性に近づきつつあるのかを確認することを挙げている。

 解析時点で喫煙していた女性の非喫煙者に対する肺がん死リスクは、60年代が2.73倍、80年代が12.65倍、2000年代では25.66倍。これに対し、同時期の男性ではそれぞれ12.22倍、23.81倍、24.97倍。男性では80年代から2000年代初頭で横ばいだったのに対し、女性は2000年代に男性に追いついていた。

 その他の喫煙に関する病気による死亡についても、2000年代で女性が男性と同等レベルのリスクを記録した。

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増えるCOPD死、理由は「不明」

 このほか、2000年代では男性のCOPD(慢性閉塞性肺疾患、関連記事)による死亡率が年齢、喫煙期間や本数によるほぼ全てのグループで増加傾向にあること、55~74歳の男性および60~74歳の女性の喫煙群では、それぞれ同じ属性の非喫煙者に比べ、死亡率が3倍以上高かったとの結果も示されている。一方、過去の喫煙者群の喫煙関連死リスクは、全ての項目で現喫煙者群に比べ大きく低下していた。

 以上の結果からThun氏らは、女性の喫煙関連死リスクはこの50年間上昇を続けており、2000年以降は男性と肩を並べていると結論。男性の喫煙関連死については1980年代以降、横ばいになっているものの、COPD死だけが増加し続けている理由は不明と述べている。

(編集部)

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