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乳児へのロタ予防接種は大人の感染も減らす―米国

 2013年01月30日 10:18

 ノロウイルスの脅威が去った時期に流行するのがロタウイルス。ともに嘔吐(おうと)と下痢が主な症状で、ロタウイルスはより重症度が高いといわれている。日本でもワクチン(商品名ロタリックス、ロタテック)が承認されているものの、自費で受けなければならない。一方、世界では政府の援助による定期接種を行っている国もある。その一つである米国では、定期接種化(乳児対象)から2年で成人のロタウイルス感染率が半減したとの研究結果が、1月23日発行の米医学誌「Clinical Infectious Diseases」(電子版)に発表された。報告した米エモリー大学のEvan J. Anderson氏らは「乳児への予防接種が地域でのロタウイルスの広がりを減らし、成人の感染率も減少させたのではないか」との見解を示している。

最新の感染性胃腸炎発生報告数と年間推移を見る

3,500人分の便で検討

 ロタウイルスによる胃腸炎は、ノロウイルスとともに病院などで「感染性胃腸炎」と診断される病気。高熱と2~3日続く嘔吐、10日程度続く下痢が特徴で、特効薬がないため脱水症状を防ぐ以外に治療法がない。そのため、重要になるのが予防だ。予防法としては、手洗いや食べ物への十分な加熱などとともに、ワクチンが挙げられる。

 米国ではロタウイルスワクチンが定期接種化される以前、ロタウイルス感染症に関連した病院受診は年間2,400万件、入院は240万件と推計されている。乳児への定期接種が導入されて以降、接種した子供だけでなく接種していない子供でもロタウイルス感染症の減少が確認されているという。

 Anderson氏らは今回、米シカゴの2病院を下痢で受診した成人患者のうち、定期接種導入前(2006~07年)から導入後2年間(2008~10年)の流行期(2~5月)に集められた3,530人分の便を分析した。

流行株変わっても効果続くかの検討必要

 その結果、ロタウイルスの検出率は導入前の4.35%から導入後には2.24%と減少。外来患者と入院患者で減少の程度は変わらなかったという。

 今回の結果について、Anderson氏らは「乳児への定期接種で地域でのウイルスの広がりが減り、成人の感染が減少していることを示唆するもの」と評価。一方、ロタウイルスの流行株(ウイルスの型)はインフルエンザのように年ごとに変わるため、流行株が変わってもワクチンの間接予防効果が続くのか、調査の継続が必要と述べている。

 同誌を発行する米国感染症学会は「今回の検討で小児へのロタウイルスワクチン接種が、成人が同ウイルスに感染することでかかる医療費を抑制するという点で、これまで考えられていた以上に費用対効果があるのかもしれない」とのコメントを発表している。

(編集部)

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