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せき、たん、熱が長引く「マイコプラズマ肺炎」

 2013年02月07日 12:01

 マイコプラズマ肺炎は本来、子供や若い人に多い感染症だが、最近は高齢者が感染するケースも珍しくなくなってきた。風邪の症状が抜けなかったら、疑ってかかる疾患の一つだ。東京都健康長寿医療センター臨床検査科の稲松孝思部長に、マイコプラズマ肺炎の特徴や治療法などを聞いた。

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気付きにくい

 マイコプラズマ肺炎の原因となるマイコプラズマは、細菌の中で最も小さな病原体。唾液の飛沫飛沫(ひまつ=せきやくしゃみなどによって飛散する体液の粒子)などから感染し、2週間ほどの潜伏期を経て気管支炎や肺炎を起こす。

 稲松部長は「まずせきやたん、発熱といった風邪に似た症状を起こします。こうした症状が長引くのが特徴で、1~2週間続きます。肺炎になっても症状が比較的軽いので、本人は気付きにくい傾向があります」と説明する。

 市販薬に頼っていると、病状を悪化させかねない。

 「こうした症状がだらだらと長引く場合は、この病気を疑って近くの呼吸器科を受診してください。また、クラミジア肺炎や百日ぜきでも似た症状が見られるので、そうしたものとの判別をつけるためにも受診が大切です」

耐性菌で治療に変化

 診断は、喉(咽頭)の分泌液を培養してマイコプラズマを検出すれば確実だが、それには2~3週間かかる。また、レントゲン検査では必ずしも肺炎の陰影が出るとは限らない。

 こうしたことから、流行状況や症状から診断されるのが実情だ。さらに、問題視されているのがその治療だという。

 「かつては、治療にマクロライド系の抗生物質が有効だったのですが、効きにくい耐性菌がこのところ増えています。マクロライド系の抗生物質で効果がないときには、テトラサイクリン系や場合によってニューキノロン系の抗生物質が有効なので、かかりつけの医師と相談するとよいでしょう」(稲松部長)

 治療薬が的確に用いられれば、通常は1週間前後で治癒する。その間、日常生活では風邪と同様に安静を保つとよい。

 予防するには、ワクチンがまだないので手洗いとうがいの励行を心掛ける。また、くしゃみやせき、たんが出る人には、他人にうつさないためにマスクをするなど「せきエチケット」を守ってほしい。

(編集部)

2012年1月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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