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子供の急性中耳炎、風邪が原因に

 2013年02月08日 12:01

 急性中耳炎は、子供の耳の病気の中では最も多い病気だ。自然に治ることもあるが、「最近は治りにくいケースがよく見られるので、注意する必要があります」と昭和大学医学部(東京都)耳鼻咽喉科の小林一女准教授は指摘する。

耐性菌増える

 急性中耳炎は、鼓膜のすぐ内側の中耳という部分の粘膜が炎症を起こす病気。風邪をひくと鼻の奥で細菌が増殖する。その細菌が耳管という鼻と中耳をつなぐ通路を通って中耳に入り、炎症を起こす。

 3歳までに50~70%が少なくとも1回はかかっている。最近では、抗菌薬の乱用により薬が効きにくい耐性菌が増えたこと、0歳児からの保育園への通園が多くなり、感染の機会が増えたことなどのため、治りにくい例が増加しているという。

 症状は、発熱、耳の痛み、時には耳漏(耳だれ)が表れる。小さい子供は、痛みを言葉で表せないため、頻繁に耳に手をやったり、不機嫌な様子を見せたりすることがあるので、親や周囲の人がよく見守りたい。

 軽症なら薬物を使わずに、経過観察をしながら自然治癒を待つ。中等症以上では、症状に応じて抗菌薬を使う。

鼓膜切開も

 適切な治療を受ければ、大抵は3日ほどで症状は軽くなる。ただ、小さい子供ほど鼓膜の状態が正常に戻るのに時間がかかり、0~1歳児では約4~8週間必要だ。

 抗菌薬を使っても症状が軽くならない、高熱が続く、合併症が発生した―などの場合には鼓膜を切開する。鼓膜を切開して膿(うみ)を出せば、熱が下がり痛みも緩和する。心配する親もいるが、鼓膜は7~10日ほどで穴が閉じるので、耳の聞こえが悪くなることはない。

 小林准教授は「子供が風邪を引いて鼻汁が出るとか発熱が長引いたときは、2歳頃までなら急性中耳炎の可能性が高くなります。また、いったん治ったとしても反復することがあるので、特に冬季から春先にかけては注意が必要です。おかしいと思ったら、引き続いて耳鼻咽喉科にかかるとよいでしょう」と助言している。

(編集部)

2012年1月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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