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体外受精でエコノミークラス症候群に? スウェーデン研究

 2013年02月26日 09:30

 日本で体外受精を受ける女性は年間約20万件で世界最多、出生数は年間2万人を超える(厚生労働省「母子保健の現状」など)。50人に1人は体外受精児という状況で、もはや体外受精は特別な例とは言えないだろう。こうした中、体外受精で妊娠した女性は、自然妊娠の女性と比べて妊娠中に静脈血栓塞栓(そくせん)症、いわゆる"エコノミークラス症候群"にかかりやすいとの研究結果が、英医学誌「BMJ」(2013; 346: e8632)に発表された。スウェーデン・カロリンスカ研究所のPeter Henriksson教授らは、中でも死亡する危険性が高い肺血栓塞栓症について「母体死亡の原因になるため注意が必要」と述べている。

妊娠初期で特にリスク高まる

 Henriksson教授らは、1990~2008年に体外受精で妊娠・出産した女性2万3,498人と、年齢などが一致する自然妊娠で出産した女性11万6,960人との間で、妊娠中に静脈血栓塞栓症を発症した割合を比較した。

 その結果、自然妊娠グループでは291人(1,000人当たり2.5人)に対し、体外受精グループでは99人(同4.2人)で、後者の静脈血栓塞栓症リスクは前者の1.77倍だった。妊娠初期で特に高く、1,000人当たりの発症数は自然妊娠群の0.3人に対して1.5人、リスクは4.22倍だった。

 静脈血栓塞栓症の中でも死亡する危険性が高い肺血栓塞栓症については、妊娠初期で1万人当たりの発症数は自然妊娠群の0.4人に対して体外受精群は3人、リスクは6.97倍とさらに高まっていた。

 Henriksson教授らは「体外受精で妊娠した女性で、肺血栓塞栓症を含めた静脈血栓塞栓症リスクが高まることが分かった。肺血栓塞栓症の絶対リスク(実際の発症数)は低いが、この病気は母体死亡の原因になるため注意が必要だ」とコメントしている。

(編集部)

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