中高生に多い金縛り、不規則な生活やストレスが原因
2013年03月01日 12:01
体が動かない、声が出ない、耳元で誰かがささやいている―就寝中に襲われる金縛りは、意識はあるのに体がいうことをきかず、締め付けられるような圧迫を感じる。中世の欧州では、悪魔の仕業と考えられていた。原因は不規則な生活やストレスにより睡眠のリズムが乱れることにあるという。
世界中の人が経験
「金縛りに関する文献は古くからあり、世界中の人が経験している」と話すのは、滋賀医科大学睡眠学講座の大川匡子特任教授。西洋では悪魔や魔女の仕業とされ、日本では金縛りを掛ける妖怪の伝承などが残る。金縛りが迷信ではなく医学的な原因があると解明されたのは1920年以降のこと。脳の働きとともに睡眠の性質、深さなどを測れるようになってからのこと。
睡眠には体は眠っているが脳波は覚醒に近い状態のレム睡眠と、脳波の活動が低下して体も眠っている状態のノンレム睡眠がある。ノンレム睡眠は眠りに入るとすぐに表れ、以降レム睡眠と交互に続き、朝方にレム睡眠が表れて寝覚めの良い朝を迎える。夢を見るのはレム睡眠の時だ。
入眠時にレム睡眠
ところが、夜遅い時間や朝方に眠る、昼間に仮眠を取る、就寝時間が定まらないなどで睡眠のリズムが乱れると、入眠時にレム睡眠が出る場合があるという。
「金縛りが起こりやすいのはこのとき。脳波は覚醒に近いパターンを示していても、実は夢を見ていて、体を支える大きな筋肉が緩んでいるので体を動かせない、というのが金縛りです」(大川特任教授)
金縛りの初発年齢が中高生くらいに多いのは、受験勉強による不規則な生活、睡眠不足、ストレスなどにより睡眠のリズムが乱れるからだ、と大川特任教授は指摘する。規則正しい生活、十分な睡眠を心掛けるようにすれば改善する。それでも金縛りがあり、昼間に眠くて困るようであれば、突然眠くなるナルコレプシーなど睡眠の病気も考えられるので、専門医に相談してほしいと話している。
全国の睡眠医療認定医は、日本睡眠学会の公式サイトに載っている。
(編集部)
2012年4月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)