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速やかに心臓マッサージ! 最新の心肺蘇生法を市民に紹介

 2013年03月26日 18:30

 心肺蘇生といえば心臓マッサージ(胸骨圧迫)と人工呼吸の組み合わせを思い浮かべるが、近年は心臓マッサージのみの方が脳機能の回復が良好などの報告がある(関連記事)。日本循環器学会は3月16日、横浜市で開かれた市民公開講座で、最新の心肺蘇生を紹介。参加した340人は講演後、贈呈された心肺蘇生訓練キットを使った実習に取り組んだ。

意識の高まりで社会復帰率が向上

 病院外で心肺停止した人の回復度は近年、大きく改善されている。日本循環器学会の研究グループによって全国レベルの研究結果が2012年に発表されたが、それによると目撃者のあった場合、後遺症を残さない社会復帰率は2005年の2.1%から、2009年には4.3%に倍増。心室細動の場合は9.8%から20.6%になっている(米医学誌「Circulation」2012; 126: 2834-2843)。

 今回講演を行った国立循環器病研究センター(大阪府)心臓血管内科の横山広行特任部長は、1990年代には1~1.5%だった社会復帰率がこのように上昇した背景には、「AED(自動体外式除細動器)」の普及や、一般市民の心肺蘇生への意識の高まりがあると指摘。より多くの市民が正しい心肺蘇生を身に付け、心肺停止例の生存率や社会復帰率をさらに向上させようと呼び掛けた。

「躊躇せずに行う勇気を持って」

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 横山特任部長は「人工呼吸に不慣れで、躊躇(ちゅうちょ)しがちな一般の人の場合は、心臓マッサージだけでよいから一刻も早く行うべき」「躊躇せずにできることをする、その勇気を持ってほしい」と説明。心臓マッサージの正しい方法を取得するよう参加者に呼び掛け、次のようなポイントを強調した。 現在、一般市民が院外心肺停止例に遭遇した場合、(1)意識を確認する、(2)助けを呼ぶ、AEDを手配する、(3)循環のサイン(せき、呼吸、体動の有無)を確認する―という手順を踏んだ上で、循環のサインがない場合、心肺蘇生を実施する(AEDは到着し次第、使用する)ことが推奨されているが、心肺蘇生の方法としては、従来の「ABC」(A=気道確保、B=人工呼吸、C=心臓マッサージ)から、近年は胸骨圧迫を最優先する「CBA」が国際的な標準となっている。

  • 圧迫するのは胸の真ん中
  • しっかり圧迫する(成人では深さ5センチ以上)
  • 早く圧迫する(1分間に100回以上)
  • 胸壁が完全に元に戻るまで待つ
  • 圧迫の中断を最小限にする
  • 過剰な換気を避ける

 講演後、参加者は会場の外に移動し、贈呈された心肺蘇生訓練キットを使って、実習に取り組んだ。

(編集部)

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