関節リウマチと診断されたら
2013年04月15日 18:00
ここは「関節リウマチ」と診断されたあなたに向けたサイトです。関節リウマチと診断されて不安になっているかと思いますが、とにかくここが出発点。この病気を正しく捉え、治療の主役として前向きに取り組んでください。
関節リウマチの治療は劇的に進歩しています。最近では、治る病気になったとまでいわれています。よく効く薬が次々に登場し、「寛解」(病気の勢いが完全になくなって、安定した状態)というゴールを目指せるようになってきています。
ここでは薬物療法の話題を中心に、関節リウマチの最新治療の考え方を紹介します。
総監修:慶應義塾大学リウマチ内科教授 竹内勤
監修:慶應義塾大学リウマチ内科専任講師 亀田秀人
(現:東邦大学医療センター大橋病院膠原病リウマチ科教授)
取材協力:慶應義塾大学免疫統括医療センター看護師 飯沼智恵
関節リウマチってどんな病気?
関節リウマチは、体外からウイルスなどの異物が入ってきたときに体を守る免疫機能に異常が起こり、関節や臓器など自らの組織を攻撃してしまうという自己免疫疾患の1つです。治療を受けずに放っておくと、関節が腫れてこわばったり、痛みが出てきてだんだん動けなくなったりしてしまう可能性があります。
関節リウマチでは、関節に左右対称に痛みや腫れなどの症状が生じます。関節は骨と骨のつなぎ目で、中には潤滑油の役割を担う関節液(滑液)が入っています。これらを覆うのが滑膜です。リウマチの炎症は、主にこの滑膜という関節組織に起こります。
免疫機能に異常が起こると、リンパ球やマクロファージといった、身体に入ったウイルスなどをやっつけてくれるはずの免疫系の細胞が、誤って滑膜の内側に集まってきて、そこに炎症を起こします。炎症が続くと滑膜細胞が異常に増殖して、炎症性サイトカインと呼ばれる炎症を引き起こすタンパク質が増えます。炎症性サイトカインは骨を壊す破骨細胞を活性化し、破骨細胞から軟骨を溶かす酵素が多く分泌されることで、骨や軟骨が壊れてしまいます。X線検査をすると、「骨びらん」といわれる骨が削れているような姿が見えます。
関節リウマチによる関節の破壊は、発症から2年間に急激に進行することが分かっています。
関節リウマチは治らないの?
以前は、関節リウマチの炎症そのものを抑え、関節の破壊を食い止められる十分な治療法がなかったため、関節の痛みや腫れを和らげる対症療法にとどまっていました。そのため、治療を受けていても関節が壊れてしまうことが少なくありませんでした。しかし、最近ではメトトレキサート(MTX)や、生物学的製剤(バイオロジックスまたはバイオ製剤とも)と呼ばれる新しい薬が登場しました。今ではそれらの新しい薬を使って早く治療を始めることで、痛みなどの症状を抑えるだけでなく、関節が壊れるのを防ぐことができるようになったのです。
こうした治療の進歩によって、関節リウマチの治療目標は「寛解」というゴールを目指せるようになりました。「寛解」とは、痛みや関節の腫れなどの症状がなくなり、関節が壊れて身体機能が障害される心配が無用になった状態をいいます。
一方、関節リウマチの原因についてはまだ明らかになっていません。症状や経過は人それぞれで、誰がどのような経過をたどるのかを予測するのも難しいのが現状です。日によって痛みなどの症状に波があることも関節リウマチの特徴です。そうした病気の状態や治療の経過を見極めながら治療法を選んでいくためには、リウマチ専門医との信頼関係が不可欠です。関節リウマチと付き合っていく上で、まず、次のようなポイントを理解しておきましょう。
関節リウマチを治療していく上でのポイント
- 寛解という目標に向けてポジティブに治療に取り組む
- 症状の波に一喜一憂して自分の判断だけで治療を中断しない
- 信頼できて長く付き合えるリウマチ専門医を見つける