侮れない子供のいびき、心身の成長にマイナス
2013年04月19日 12:30
子供のいびきは病気が原因のことがある。多いのが「アデノイド肥大」で、睡眠不足や睡眠の質が下がるなどして、心身の成長にマイナス面が出てくる可能性がある。軽く考えないで、体の異変のサインと受け止め、早めに耳鼻咽喉科か小児科の専門医に相談するとよいという。東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科の千葉伸太郎講師に聞いた。
睡眠時無呼吸症も
いびきは、呼吸するときに空気の通り道となる気道で起きる摩擦音。気道が狭くなると音が大きくなり、大きないびきとなる。「気道が狭くなる原因で一番多いのはアデノイド(咽頭扁桃=へんとう=)の肥大です」と、千葉講師は指摘する。
アデノイドは喉の奥の方にあるリンパ組織で、外から侵入してくる細菌を防御する。一般的には3歳頃から大きくなり始め、5~6歳頃ピークに達し、成長に伴い小さくなる。
ところが、アデノイドが必要以上に肥大して喉の奥がふさがれると、呼吸がしにくくなる。子供がいびきによって十分な睡眠が得られなかったり、呼吸が一時的に停止する睡眠時無呼吸症候群などが長期間続いたりすると、十分な酸素を取り入れることができず、深い睡眠も妨げられて、成長ホルモンの分泌が不足する。
撮影して受診を
「子供は寝ている間に成長します。大きないびきや無呼吸があると身長が伸びない、体重が増えない、ひ弱な体質で集中力に欠け学力が付かない、イライラしがちでキレやすい―などマイナス面が出てくるのです」(千葉講師)
子供が毎晩のようにいびきをかくようなら、胸をはだけさせ、呼吸時の胸部や腹部の状態をビデオや携帯電話で撮影して医師に見せるとよい。問診やこのビデオと、さらに行う睡眠の検査などに基づき、治療の必要性などを判断する。
「最初は小さないびきをかいた後にすぐにせきをすることが何回も続くようだと、睡眠時無呼吸症候群が疑われます。早めに適切な治療を受けさせてください」と千葉講師は助言する。睡眠障害などの専門医や医療機関などは、日本睡眠学会の公式サイトで検索できる。
(編集部)
2012年6月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)