悩ましい口内炎、がんや難病が原因のことも
2013年05月15日 12:30
日常よく見られる口内炎には、いろいろなタイプがある。原因不明のケースから真菌(カビ)や細菌、ウイルスによるもの...。多くが原因不明のアフタと呼ばれるケースだが、まれにベーチェット病やがんが原因の場合もある。軽視しないで歯科や口腔(こうくう)外科で適切な治療を受けた方がよいと、鶴見大学歯学部(神奈川県)口腔外科の中川洋一講師は助言する。
アフタにも2種類
中川講師によると、口内炎の代表的なタイプは原因不明で形状からアフタといわれるケース、カンジダという真菌による口腔カンジダ症、歯周病に起因する壊死(えし)性潰瘍性歯肉口内炎、ヘルペスウイルスが原因の疱疹(ほうしん)性歯肉口内炎の四つ。
「このうち最も多いのは中央が白くてその周囲が赤いアフタですが、口の中の粘膜に単発的に出る『独立性アフタ』と、複数できて再発を繰り返す『慢性再発性アフタ』とがあります。アフタは全身疾患のベーチェット病の初発症状として出るケースもあります」
アフタは通常1~2週間で自然に消失するが、その間染みると痛い、触ると痛い、食べると痛いといった症状が見られる。こうした痛みは、他の口内炎にも共通する。
口の中は清潔に
口内炎の問題の一つは、痛みが日常生活に支障を来す点。もう一つは、ベーチェット病やがんの危険性がある点だ。
「よくある病気なので放っておきがちですが、歯茎や口の中の粘膜に違和感や痛みがあったときには歯科、できれば口腔外科を受診した方がいいのです。治療も当然病態によって異なります」(中川講師)
アフタの場合は、ステロイド薬の貼り薬や塗り薬が用いられる。口腔カンジダ症は抗真菌薬、壊死性潰瘍性歯肉口内炎では抗生物質、疱疹性歯肉口内炎には抗ウイルス薬が効果的だ。
中川講師は「口の中に炎症があると、痛みで歯のブラッシングもおろそかになりがちです。適切な治療を受けるとともに、日常生活では口の中を清潔に保つように」とアドバイスしている。
(編集部)
2012年8月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)