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放射線治療を受けた乳がん患者は心臓病になりやすい?

 2013年05月27日 09:17

 英オックスフォード大学のSarah C. Darby氏らは、スウェーデンとデンマークの放射線治療を受けた乳がん患者を検討した結果、のちに心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患になるリスクが高くなるとの研究結果を、米医学誌「New England Journal of Medicine」(2013; 368: 987-998)に発表した。リスクは放射線治療から5年以内に上昇し、20年以上継続する。リスク上昇は、治療時に喫煙や肥満、糖尿病など他の心臓病危険因子を持っていた患者で顕著だったという。

1グレイ増えるごとに7.4%上昇

 Darby氏らは、1958~2001年に放射線治療を受けたデンマークとスウェーデンの乳がん患者2,168人について、カルテと医療記録から心臓への平均照射量を推定し、虚血性心疾患との関連を検討した。冠動脈イベント(心筋梗塞、冠動脈の血行再建手術、虚血性心疾患による死亡)は1,205人で見られた。

 その結果、心臓への平均照射量は4.9グレイで、のちに冠動脈イベントが発生する割合は、1グレイ増えるごとに7.4%増加することが分かった。リスクの上昇率は放射線治療後の10年間で最も高く、その後低下したが、治療から20年後も依然として高かった。また、特に糖尿病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肥満、喫煙(治療時)などの要素を持つ患者でリスクが高かったという。

 共同研究者でスウェーデン・カロリンスカ研究所放射線疫学のPer Hall教授は「今回の研究により、放射線治療を受けた乳がん患者では後年、虚血性心疾患リスクが高くなることが分かった。この結果は、放射線療法のメリットと心臓への影響を比較する際の、有益な情報となる」と述べている。

(編集部)

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