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アンジェリーナ・ジョリーさんの乳房切除に学会が声明

 2013年05月28日 20:00

 日本乳癌(がん)学会は5月27日、「遺伝性乳癌に関する日本乳癌学会としてのステートメント」を発表。米女優アンジェリーナ・ジョリーさんが遺伝子検査により遺伝性乳がん・卵巣がんのリスクが高いことが判明し、将来のがんリスクを低下させるために両乳房(乳腺)を切除したとの公表を受けてのもの。同学会は、ジョリーさんの事例を契機に日本でも遺伝性乳がんに対する関心が高まっているとして、日本での診療の現状について情報提供を行っている。

専門家組織では簡易判定表も公開

 ジョリーさんは5月14日、米紙「New York Times」に自身の予防的乳房切除の体験記を発表。乳がんの遺伝子検査に関する認知度は低く、高額な費用を必要とするなどの障壁があると指摘した。また、自身の体験を公表することで、自分のリスクを知らない多くの女性に遺伝子検査があること、もし、リスクが高いと判明した場合も(予防的切除という)強力な選択肢があることを知ってほしいと呼び掛けている。この記事に対する読者からのコメントは日本時間5月28日現在で1,700件を超えている他、世界各国が連日、ジョリーさんやその親戚の乳がんに関する報道を続けているなど、大きな反響を呼んでいる。

 日本乳癌学会は声明で、遺伝性乳がん・卵巣がんの診療に健康保険は適用されておらず、遺伝カウンセリングの体制が整った施設でのみ「自由診療として遺伝子診断を行うことが可能」と述べている。国内の実施施設の公式サイトでは、カウンセリングには1回当たり1万円前後、遺伝子診断には20万~30万円程度かかるとの情報を見ることができる。

 日本では今年1月に乳腺外科、産婦人科、臨床遺伝、遺伝カウンセラー、がん看護、分子生物学、臨床検査などの分野の専門家組織「日本HBOCコンソーシアム」が発足。現在、遺伝性乳がん・卵巣がんの診療体制を充実させるための活動が行われている。

 日本HBOCコンソーシアムの公式サイトによると、全国で現在約30カ所の施設で遺伝性乳がん・卵巣がんの遺伝カウンセリングやリスク増加に関連する遺伝子(BRCA1、BRCA2)の変異を調べる検査が実施されている。一部報道などによると、日本で遺伝性乳がん・卵巣がん患者に対する予防的乳房切除術を選択肢として正式に提供している施設はまだ少ないようだ。なお、同サイトではHBOCリスクの簡易判定表も公開されている。

 日本乳癌学会は、今後さらなる診療体制の充実を図るための指針を策定中であり、内容が定まり次第公表すると述べている。

(編集部)

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