女性に多い骨粗しょう症、男性も油断大敵
2013年05月31日 11:30
骨が変化して内部に隙間ができる骨粗しょう症は、高齢の女性に多いといわれる。埼玉医科大学かわごえクリニック骨粗しょう症外来の宮島剛講師(整形外科)は「高齢女性に限らず、男性や若い女性にも見られる病気です」と話す。
2割は男性患者
骨粗しょう症では、それ自体に痛みはない。しかし、骨の変形によって背中の痛みや腰痛を起こすほか、背骨の圧迫骨折や転んだ際の骨折の原因にもなる。
「骨を壊す破骨細胞の寿命を決めるエストロゲンというホルモンの欠乏によって起こります。これは女性ホルモンの一つで、閉経によって分泌が急に減ります。このため、骨粗しょう症は閉経後の女性に多く、若い人でも生理不順などで、もともと分泌の少ない人にも見られます。エストロゲンは、男性の体内でも分泌されるので、2割くらいは男性の患者さんです」(宮島講師)
治療は、薬物療法と食事療法、運動療法を"三位一体"で行う。
薬で骨密度増加
「ビスホスホネート製剤をはじめとした骨の強度を積極的に増加させる薬によって、1年間で骨密度が1~5%増加します。それに加えてビタミンDやK、イソフラボンなど骨の強度を維持・補助する薬、予防的に用いるサプリメント(栄養補助食品)、骨折などの痛みを取る薬も用います」(宮島講師)
食事療法では、毎日の食事の中で、カルシウムを豊富に含む牛乳やヨーグルト、魚や肉のレバーに含まれるビタミンDを多く取るとよい。一方でインスタント食品、ハム・ソーセージ、炭酸飲料には、カルシウムの代謝を悪くするリンが多く含まれているので、取り過ぎないようにする。
運動療法で行う脚、腰、腹部の筋力をアップさせる体操は、骨密度の増加と転倒予防に効果が高い。
宮島講師は「すべての閉経後の女性は、一度は骨粗しょう症の検査を受けてください。治療後も定期的な検査を継続することが重要です。また、男性もかかるということを知っておいてください」と強調している。
(編集部)
2012年7月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)