「肥満は病気」「学校で日焼け止め許可」米医師会が方針
2013年06月27日 11:30
米国医師会(AMA)は6月18日、米シカゴで開かれた年次集会で、公衆衛生と科学上の新たな問題に関する方針を発表した。会員らの投票によって選ばれた10項目で、「肥満は医学的介入が必要な病気」「学校での日焼け止め使用の許可を」「子供への栄養ドリンクの販売禁止」などが含まれている。
子供の栄養ドリンクや長時間座ることにも言及
AMAが発表した10方針は以下の通り。
- 遺伝子による差別の反対
- 遺伝子データの公的利用の支援
- 薬局での調剤の安全性確保
- 男性同性愛者の生涯にわたる献血禁止への反対
- 予防としてのHIV(エイズウイルス)治療
- 肥満は病気
- 子供への栄養ドリンク(エナジードリンク)販売禁止
- 長時間座ることの健康リスク
- 学校での日焼け止めの使用の許可
- 診察室のコンピューター化
このうち「肥満は病気」について、AMAは「肥満を医学的介入が必要な病気と認識し、治療と予防の進展に取り組む」との方針を採択。声明の中で「米国人の3人に1人が直面するこの複雑な問題の解決に取り組むべき」と述べている。
この発表を受け、患者支援・学術団体である米国心臓協会(AHA)も「心臓病と脳卒中の重要な危険因子である肥満に対し、さらなる注力が必要と」とのコメントを発表。個人、産業界、医療関係者や行政が一丸となって取り組むべきと訴えた。
「米国人の3分の1を病気と診断すべきか」など反対意見も
一方、循環器専門メディア「Heart.org」では、「肥満は喫煙と同様、病気ではない。喫煙が肺がんや肺気腫を引き起こすように、肥満は糖尿病や高血圧につながっている」「肥満は深刻な社会的問題だが、健康に問題のない人まで含めて米国人の3分の1を病気と診断すべきなのか」といった、AMA会員の反対意見も紹介している。
なお、「予防としてのHIV治療」はHIV感染者やエイズ患者を治療する医療従事者に向けたもので、「子供への栄養ドリンク販売禁止」と「長時間座ることの健康リスク」はこれまでの研究結果に基づいた方針(関連記事1、関連記事2)。「学校での日焼け止め使用の許可」は、米国の多くの州では医師の証明なしに一般薬(OTC薬)を学校に持ち込むことを法律で禁じており、日焼け止めはOTC薬に該当するためだ。皮膚がんや肌の老化を抑えるためには、日焼け止めを日常的に使うことが有用とされている(関連記事)。
(編集部)