夏に増える金属アレルギー、汗に溶けて湿疹起こす
2013年07月05日 11:30
夏になると金属アレルギーに悩む人が増える。暑さと汗の作用によってイオン化した金属が溶け出し、直接触れている皮膚にアレルギー反応を起こすためだ。食べ物に含まれているニッケルなどの金属で、全身性の皮膚炎を起こすケースもある。東邦大学医療センター大橋病院(東京都)皮膚科の向井秀樹教授に聞いた。
義歯も原因に
向井教授によると、金属アレルギーの原因になる金属は77種類もある。眼鏡フレーム、ネックレスやピアスなどに用いられるニッケルをはじめ、クロム、コバルトによる例が多いという。
「これらの金属はそのままでは問題ありませんが、暑さや汗でイオン化して溶け出すと、アレルギー反応を起こしやすくなるのです。多くは接触性皮膚炎で直接触れた所がかぶれ、かゆみの強い湿疹を伴います」
金では、ピアスをしている耳の皮膚の中に硬く触れ、半球状に隆起するピアス肉芽(にくげ)腫を起こすこともある。
こうした金属は義歯にも用いられているので、口の中に発症することがある。このほか意外な落とし穴が食べ物だ。
「ニッケル、クロム、コバルトなどはチョコレート、ココア、コーヒー、豆類、香辛料、貝類、レバーに多く含まれています。食べ物によるケースでは全身に湿疹が生じます」
パッチテストで診断
金属に触れている皮膚に湿疹ができたり、チョコレートなどを食べた後に全身性の湿疹が生じたりした場合は、皮膚科を受診した方がよい。
「診断では、疑われる金属を皮膚に貼って反応を見るパッチテストを行います。ただし金属アレルギーの場合、通常の2日目、3日目の判定に加えて、5日目ぐらいに反応のピークを示すことがあるので、貼ってから1週間後に判定する必要があります」(向井教授)
治療は、かゆみに対して抗ヒスタミン薬の内服薬が用いられる。皮膚炎症状にはステロイド外用剤で改善を図るが、患部をかいたときに皮膚が破れ、細菌が侵入して二次感染を起こす危険性があるのでガーゼや包帯で保護する。
再発を予防するには、パッチテストでアレルギー反応の認められた金属を避けるのが第一。装飾品の場合は他の金属のものを選ぶとよいという。
(編集部)
2012年7月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)