結節性硬化症、子供の白いあざやしつこいニキビに注意
2013年07月19日 10:30
厚生労働省が特定疾患(難病)に指定する「結節性硬化症」は全身に腫瘍ができ、皮膚や肺、心臓などにさまざまな症状を引き起こす。聞き慣れない病名かもしれないが全国に推定1~2万人の患者がおり、遺伝子の変異によって誰にでも起こり得ることはあまり知られていない。多くは成人する前に発症するてんかんをきっかけに診断されるが、生まれた直後から白いあざを持っていたり、ニキビのような発疹がしつこかったりするようなら注意しておきたい。
通院中止で取り返しのつかないことに
結節性硬化症はプリングル病とも呼ばれ、完治させる方法はまだ見つかっていない。脳や腎臓、肺、皮膚、心臓など全身のあらゆる部位に腫瘍ができたり、てんかんや自閉症の症状が出たりする。個人差が大きく、大人になってから患者と判明する人もいる。
原因は遺伝子の突然変異にあり、難病情報センター(東京都)によると、親のいずれかが結節性硬化症ならば50%の確率で子供に遺伝する。しかし、親の遺伝子を調べても全く異常が見つからないこともある。その場合は親の精子か卵子の遺伝子が変異したため、子供のみが発病するのだという。
患者の大半は生まれた直後から皮膚に白いあざがあり、早ければ小学校に上がる前から赤みを帯びた発疹が出てくる。また、8割ほどは子供の頃にてんかんを発症している。頭をカクンと垂れたり、意識を失い手足が痙攣(けいれん)したりする発作に親も最初は慌ててしまうが、徐々に慣れてくると定期通院を途絶えさせてしまうケースが少なくない。
大阪大学大学院医学系研究科の野々村祝夫教授(泌尿器科)は「成長するにつれてさまざまな症状が出る結節性硬化症では、定期的に患者の様子をチェックしなければ病状の進行に気付けず、取り返しが付かないことになります」と注意を呼び掛けている。
早期発見・治療で進行を遅らせることも
子供の中学校入学前に、てんかんが落ち着いてきたと安心して通院をやめたら、知らない間に腎臓にできた腎血管筋脂肪腫が大きくなり、成人前に腎臓を摘出せざるを得なくなったケースもある。
野々村教授は「腎血管筋脂肪腫には進行を遅らせる薬が出ているので、早く気付けばそれだけ早く治療が始められます。命の危険につながる症状は他にもあるため、定期通院は必ず続けて欲しい」と訴える。
結節性硬化症は小児科や皮膚科への受診から判明することが多いが、野々村教授は「専門に研究する医師がほとんどいないため、診断後の患者や家族へのフォローが難しいのが現状です」と指摘する。そのため、情報源が限られているため子供が結節性硬化症と診断されると途方に暮れる親もいるが、この病気を持つ患者の家族らが「TSつばさの会」(代表=平岡まゑみ氏)を結成し、情報提供などの支援活動を行っている。
(編集部)