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ディオバン問題で学会が声明「高血圧治療の継続を」

 2013年07月23日 19:30

 京都府立医科大学の元教授が関わった高血圧治療薬「ディオバン」(一般名バルサルタン)の臨床研究に関する問題で、高血圧患者の間で不安が広がっている。これを受け、日本高血圧学会は7月18日、公式サイトで、治療中の患者は担当医と相談の上、治療を継続することを勧めるとの声明を発表した。

担当医に相談を

 ディオバン問題は、京都府立医大の松原弘明元教授が患者3,000人を対象とした研究で、製薬会社ノバルティスファーマが販売するディオバンが降圧効果だけでなく、他の薬と比べて脳卒中や心臓病を45%減らせる効果があるという画期的な論文を発表。ところが、脳卒中や心臓病のリスクを減らす効果があるように、研究データの改ざんやねつ造が行われていた、というもの。大学側は調査を行い、「論文の結論は誤りだった」と認めている。

 この問題が明るみになったことを受け、患者の中にはディオバンだけでなく、高血圧治療そのものに疑問を持つ人が出始めているという。

 こうした患者に向け、日本高血圧学会は「高血圧を放置すると脳卒中や心筋梗塞の発症リスクが増大します。また、降圧薬を内服して血圧を下げることで、脳卒中や心筋梗塞の発症リスクを減らすことができます。血圧を下げることが最も大事な点です」と治療の重要性を訴えた上で、「降圧治療の大切さに疑問を持ってしまい、治療を控える方が増えることがないように願っています。また、既に治療を受けておられる方については、担当の先生とご相談されて、治療を継続されることをお勧めします」とした。

ノ社「降圧効果、安全性に問題ない」

 ノバルティス社も公式サイトで、患者らに対して「ご心配とご迷惑をおかけしておりますことを心よりお詫(わ)びいたします」とした上で、ディオバンの高血圧に対する有効性と安全性は確立しており、問題がないことへの理解を求めた。

 ディオバンの降圧効果については京都府立医大側も、7月12日に発表した調査結果の中で問題がないことが確認されたとしている。また、問題となっている論文の内容は、承認などの際の資料としては使用されていないという。

 そのためノバルティス社は、患者個人の判断で服薬を中止せず、必ず医師の判断に従うよう求めている。

(編集部)

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