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増える乳がんの遺伝子検査、どんなときに受ける?

 2013年07月26日 10:30

 米国の有名女優が乳がん予防のために乳房切除の手術を受けたことを公表し、日本の女性に衝撃を与えた。わが国でも乳がんに関する遺伝子検査の件数が増えてきているという。どのようなときに遺伝子検査を受け、陽性だった場合はどうすればよいのだろうか。札幌医科大学医学部遺伝医学の櫻井晃洋教授に解説してもらった(関連記事)。

条件を満たした人だけが遺伝子検査の対象

 日本人女性の場合、約6~7%が生涯のうちに乳がんになるといわれる。乳がんのうち約5%は遺伝性であり、そのなかで最も多くの割合を占めるがBRCA1とBRCA2という遺伝子の変異によるものである。これらに変異があると70歳までに56~87%の確率で乳がんになることも分かっている。また、卵巣がんなどを合併することもある。遺伝子検査でこの変異は診断可能だ。

 しかし、櫻井教授は「心配な人すべてが遺伝子検査を受ける必要はありません。遺伝性乳がんには特徴があり、その特徴を満たす人だけが検査を考慮すればよいでしょう」と言う。

 家系内に(1)40歳未満で乳がんになった人がいる、(2)年齢を問わず卵巣がんになった人がいる、(3)乳がんを2つ以上発症した人がいる―などに当てはまる場合だけだ。

不安な場合は「遺伝カウンセリング」

 もし、遺伝子検査で陽性だったら乳がんや卵巣がんになる確率が高いので、通常よりも若いうちから検診を受け、早期発見を心がける必要がある。また、その人の血縁者も要注意なので、遺伝子検査が勧められる。

 櫻井教授は「遺伝子検査の結果は、心理的な負担の大きい結果も予想されます。だから、同時に行われる遺伝カウンセリングでの心理面への支援も大切になるのです」と強調する。

 遺伝カウンセリングでは、検査でどういうことが分かるのかや結果について丁寧に解説してくれるだけでなく、心理面の支援もしてもらえる。今回の米女優は、遺伝子検査の結果を受け、おそらく遺伝カウンセラーや家族と何度も話し合った結論として予防的に乳房を切除したのだろう。こうした決断をする女性は特に米国では少なくない。わが国でも数は少ないものの、予防的乳房切除を開始した病院もある。また、乳房切除だけでなく頻繁な検診で早期発見するという手段もある。

 勘違いしてならないのは、乳がんの遺伝子検査が陰性であっても、乳がんにならないわけではないこと。遺伝性でない乳がんになる可能性はあるので、定期検診は必ず受けた方がよい。

 遺伝子検査のことが知りたいならば、櫻井教授の著書「そうなんだ! 遺伝子検査と病気の疑問」を勧めたい。

(編集部)

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