首などのリンパ節が腫れる血液がん「非ホジキンリンパ腫」
2013年08月26日 06:00
血液のがんである悪性リンパ腫の中で最も多いのが「非ホジキンリンパ腫」だ。日本人の悪性リンパ腫の約9割を占めるといわれる。特に60歳以降に多く見られ、高齢化社会の進行に伴い増えているという。東京医科大学血液内科の後藤明彦講師に聞いた。
脇や脚の付け根にも
悪性リンパ腫は、白血球の一種であるリンパ球のがん。そのうちの一つ非ホジキンリンパ腫について、後藤講師は「この病気は日本人の男性では10万人当たり15.5人、女性では11.2人に見られると報告されています。幅広い年齢層に起こりますが、特に60歳以上に多いタイプの非ホジキンリンパ腫が増えてきている印象があります」と話す。
原因はよく分かっていないが、環境因子、食生活、遺伝子異常などの関与が考えられている。
「初期にはこれといった症状はありません。進行するに伴って、首や脇の下、脚の付け根などのリンパ節が腫れるなどしますが、リンパ節以外の所にしこりができるケースも少なくありません」(後藤講師)
例えば、目に腫れ物ができて手術を受け、初めて非ホジキンリンパ腫と分かったケースや、検診のレントゲンで発見されるケースもある。
痛みないしこり注意
あまり神経質になる必要はないが、リンパ節や体のどこかに痛みがほとんどないしこりができ、1カ月以上も続く場合は、念のため総合診療科か内科を受診するとよい。
「触診や血液検査、レントゲンやCTなどの画像検査で非ホジキンリンパ腫が疑われたときには、血液内科の専門医を紹介してもらうとよいでしょう。診断は、組織の一部を採って調べる生検でつきます」(後藤講師)
悪性度や進行度は患者によって異なる。そのため病態によって治療は異なるが、抗がん薬による化学療法、がん化した細胞に特殊な抗体を用いる抗体療法、放射線療法や抗体放射線療法が基本になる。
後藤講師は「治療にはそれぞれ一長一短があるので、医師とよく相談して、自分の病態に適した治療を受けるように」とアドバイスしている。
(編集部)
2012年10月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)