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予防接種受けたのに風疹に? 川崎市の報告

 2013年09月25日 10:30

 川崎市健康安全研究所(神奈川県)の三崎貴子さんらは9月18日、国立感染症研究所の公式サイトなどで、同市内で予防接種を受けた12日後に風疹にかかった人に関して報告した。この人物は39歳の男性で、市の助成を受けて今年6月にワクチンを接種。その12日後、発疹などの症状が出現していた。その後の遺伝子解析で、男性からはワクチンで使われている種類ではないウイルス(野生株)が検出され、ワクチンで抗体を獲得する前に風疹にかかったことが分かった。

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全ての検体から野生株の遺伝子を検出

 男性は、2013年6月に麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)を接種。接種の1カ月以内に家族や友人の感染が確認されていなかったほか、職場では中国に出張した社員がいたものの、風疹発症者はいなかったと報告されている。ところが、予防接種の12日後から顔面を中心に発疹が広がり、14日目に医療機関を受診した。

 受診した医療機関や同研究所で解析した結果、血液、喉の粘膜、尿と調べた全ての検体から野生株の遺伝子が検出され、ワクチンからではなく自然に感染したことが確定した。

 三崎さんらは「風疹の潜伏期間は2~3週間なので、予防接種の2~9日前に感染したと考えられる」と述べている。

来年の流行に備え、職場などでの一斉接種を

 風疹の研究者である理化学研究所の加藤茂孝さんは「ワクチンの副反応(副作用)が大きく取り上げられる中で、このように詳細な調査・解析が行われたことは大変素晴らしい進歩。野生株の感染であることが確認されたことで、ワクチン株の安全性も確認されたと評価できる」とコメント。「風疹に限らず、ワクチン接種後の副反応が疑われる全ての事例について、同様の解析が実施されることが望ましい」と話した。

 また、過去のパターンでは風疹の流行期間は3年程度続いていることから、来年も再び流行が起こる可能性があることを指摘。「風疹免疫がない成人男性のうち、今回の流行でまだ感染しなかった、あるいはワクチン未接種の人は数多く存在している。風疹と風疹による先天異常(先天性風疹症候群)の効果的な予防には、男性の職場などでの一斉接種をいち早く実施することが重要」と述べている。

(編集部)

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