血圧測定で商品券、福島県会津美里町の取り組み
2013年11月11日 17:30
病気を防ぐためには自身の血圧を把握することが一番、と分かってはいるのものの、毎日の血圧測定やそれを記録するのは面倒なこと。でも、血圧を測ると商品券がもらえるとなれば―。福島県会津美里町で今年8月、家庭で血圧を測定するとポイントが加算され、たまったポイントを地元商店街で使える商品券と交換できるという制度が始まった。第36回日本高血圧学会総会(10月24~26日、大阪市)では、この「あいづじげん健康ポイント倶楽部」事業の発起人である福島県立医科大学医学部の谷田部淳一氏(慢性腎臓病病態治療学)が事業の仕組みを紹介した。
※「あいづじげん」は同町のイメージキャラクター名。
朝晩の血圧測定で20円相当
「あいづじげん健康ポイント倶楽部」で採用しているシステムは、家庭で血圧を測ると同時に携帯電話の回線を経由してデータセンターに送られるというもの。治療中の病気やこれまでにかかった病気、服用中の薬、いつ検査を受けたかなども、会員の患者が持ち込めば担当者がデジタル化し、「パーソナルヘルスレコード(PHR)」として保管される。
このデータによって、日常的な健康管理はもちろんのこと、救急で受診した病院や災害時でも医師がすぐさまに患者の状態が把握できるようになる。
ところがこのシステム、利用するために年間1万80円のサービス料が必要なため、登録しない人が続出する可能性があった。そこで谷田部氏らは、血圧を測定するたびにポイントが付与される制度を導入。ポイントは情報量などによって増え、例えば、朝晩の血圧測定で20ポイント、健康診断や人間ドックのデータを預けたら500ポイントなどとなっている。たまったポイントは、町内の加盟店で使える商品券の交換できるようにした(1ポイント=1円)。
2010年度の都道府県別調査によると、福島県は心筋梗塞による死亡が男女ともトップ。「パーソナルヘルスレコード」とポイント制度を使った新たな試みが住民の健康や地域経済にどんな影響を与えるのか、福島県立医大で検証していく予定だ。
開始から約2カ月間で登録者は50人弱。今後、500人規模の登録を目指す。
(編集部)