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ビタミンB12を多く取るとがんになる? デンマーク研究

 2013年11月21日 10:30

 赤血球をつくるのに欠かせない、"造血のビタミン"と呼ばれるビタミンB12。レバーや魚介類に多く含まれ、貧血予防の効果があることでも知られている。しかし、ビタミンB12を多く取るとがんになりやすくなる可能性が出てきた。11月18日発行の米医学誌「Journal of the National Cancer Institute」(電子版)に報告した、デンマーク・オーフス大学病院臨床疫学部Johan Frederik Berg Arendt氏らによると、血液中のビタミンB12濃度が高いほど発がんリスクが増加したという。

最大で6.3倍

 葉酸とともに赤血球をつくる働きを持つビタミンB12は、不足すると造血作用が低下し、やがて貧血を引き起こしてしまう。また、記憶力の低下や不眠、早期老化などさまざまな悪影響も報告されている。レバーや貝類、海藻類、青魚などに多く含まれており、妊婦や授乳をしている女性だけなく、野菜に偏りがちな食生活の人などで不足することが多いという。

 Arendt氏らは、1998~2010年に北デンマークで医療記録に登録されたデータのうち、がんにかかったことがなく、血中ビタミンB12(コバラミン)濃度が血液1ミリリットル当たり(以下同)約54.5ピコグラム以上だった33万3,667人を対象に検討。血中ビタミンB12濃度別に3つのグループに分類した。対象者の年齢は55.1歳、追跡期間は3.5年(ともに中央値)だった。

 検討の結果、追跡を始めて1年以内で8,103人が発がんし、血中ビタミンB12濃度が最も低いグループ(54.5~163.4ピコグラム)で2.04倍、中等度のグループ(163.7~217.9ピコグラム)で3.44倍、最も高いグループ(217.9ピコグラム超)で6.27倍と、濃度が上がるにつれて発がんリスクも増加した。なお、がんの種類別に見ると、血液がん、喫煙やアルコールに関連したがんが特に多かった。

追跡開始1年以降では関連示されず

 一方、追跡開始1年以降でがんを発症したのは1万4,549人で、血中ビタミンB12濃度が上がるごとに発がんリスクは上昇傾向にあったものの、統計学的に意味のある関連は示されなかった。

 今回の研究結果について、Arendt氏らは「血中ビタミンB12(コバラミン)濃度が高いほど、測定から1年以内の短期で発がんリスクが増加することが示された」と結論。しかし、「これらが全ての種類のがんに当てはまるわけではない」とも指摘した上で、実際の医療でも当てはまるかどうかにはさらなる研究が必要とした。

(松浦 庸夫)

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