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歯周病は万病のもと! 妊婦の場合は早産や低体重児誘発も

 2013年12月04日 06:00

 歯周病は口の中の病気だが、肺炎や動脈硬化、糖尿病などに関係する。日本大学歯学部付属歯科病院(東京都)歯周病科の伊藤公一教授は「歯周病菌が体を巡り、いろいろな悪さをします」と警告する。糖尿病や肺炎など多岐にわたり、妊婦の場合は早産や低体重児を招くこともあるという。

動脈硬化も進行

 口の中に存在する歯周病菌やそれが作り出した物質は、炎症を起こした歯肉から血管に入り、血流に乗って全身を駆け巡ってさまざまな病気を招く危険性がある。

 歯周病菌の一部は、唾液に混じって胃に入り込み死滅するが、誤って肺の方に入ってしまうことがある。誤嚥(ごえん)性肺炎は、気管から肺に入り込んだ食べかすや唾液の中の細菌が起こす肺炎で、のみ込む力の低下した高齢者などに多い。歯周病を抱えている高齢者は、歯周病菌による気管支炎や肺炎を起こしやすい。

 動脈硬化は、コレステロールなどが動脈の血管壁にたまり、血管の柔軟性を低下させたり狭くしたりする状態で、脳梗塞や心筋梗塞の重要な危険因子だ。歯周病菌やそれが作った物質は血管壁に付着して、動脈硬化を進行させるのではないかと考えられている。

 妊娠・出産の予定がある人にも影響する。体に炎症が起こると、血液中に炎症性物質と呼ばれるものが増えるが、歯肉中に増加した炎症性物質は血液中に入って子宮を収縮させる作用があり、早産や低体重児出産を起こしやすくなるという。

歯肉炎の段階で治療

 最も関係が深いのが糖尿病だ。糖尿病は高い血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が続く病気。血糖をコントロールしているのはインスリンというホルモンで、歯周病があると、増加した炎症性物質がインスリンの働きを抑え、糖尿病を悪化させる。

 一方、糖尿病で血糖値が上がると血液循環が悪くなり、体の抵抗力が低下する。そうすると菌が増殖して歯周病が悪化する。歯周病の治療が糖尿病を改善させ、糖尿病の治療が歯周病を改善させるといった報告もある。

 伊藤教授は「歯周病は万病のもと。早期発見早期治療が大切です。歯肉炎の段階で治療を始めれば、完全に治せます。そのためには、プラークを除去する口腔(こうくう)ケアと半年に1回ほどの定期検診が大切です」と助言している。

(編集部)

2013年1月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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