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がんが隠れていることも、男性の鉄欠乏性貧血

 2014年01月20日 06:00

  貧血で特に多いのが鉄欠乏性貧血だ。男性の鉄欠乏性貧血は、女性の場合より何らかの病気が隠れている可能性が高い。貧血の治療と並行して、その原因を早く突き止める必要がある。東京女子医科大学病院血液内科の志関雅幸講師によると、がんが隠れている可能性もあるという。

鉄分失われる

 鉄欠乏性貧血は、体内の鉄分が不足して赤血球を十分に作れなくなって起こる。赤血球は大部分をヘモグロビンが占め、全身の隅々に酸素を運ぶ役割を果たしている。ヘモグロビンは鉄分やタンパク質でできていて、体内の鉄分が不足するとヘモグロビンを作りにくくなる。健康な成人の体内には3,000~4,000ミリグラムの鉄が存在していて、そのうちの約65%がヘモグロビンに含まれている。

 鉄分が不足する原因は、一つには食事などからの摂取不足がある。志関講師は「さらに重要なのは、出血によって鉄分が失われること」と指摘する。若い女性に鉄欠乏性貧血が多いのは、周期的に月経で出血があるため鉄分が不足しやすくなるからだ。

 一方、男性の場合は月経がないため、胃や十二指腸、大腸など消化管からの出血が疑われるという。志関講師は「男性や高齢者の鉄欠乏性貧血では、がんが隠れていることがあります」と話す。

乏しい症状

 鉄欠乏性貧血で鉄分を補給するために鉄剤を1年以上飲んでいても効果が見られなかった男性を診察して検査したところ、大腸がんが発見された例もあるという。

 鉄欠乏性貧血になると、一般的に息切れや動悸(どうき)が表れるといわれる。ただ、志関講師はこうした症状を訴えてくる患者は必ずしも多くはなく、健康診断の血液検査で貧血が分かって受診する場合もあるとしている。また、多くはないが、爪がへこんだり割れやすくなったりすることもある。徐々に進行することが多く、体が貧血の状態に慣れて症状に気付きにくくなる。

 「あまり特徴的でない症状の中にも貧血が隠れていることがあるので、定期的に健診を受けることが大切です。また、貧血の原因となる病気がないか検査することも忘れずに」と志関講師は勧めている。

(編集部)

2012年10月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)

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