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生理痛の治療薬で3人死亡か、厚労省が注意喚起

 2014年01月20日 17:30

 厚生労働省は1月17日、生理痛(月経困難症)の治療薬である低用量ピル「ヤーズ配合錠」(一般名ドロスピレノン・エチニルエストラジオール錠)の副作用と見られる血栓症で3人の死亡が発生したことから、注意喚起するとともに、製造販売元のバイエル薬品には添付文書に警告欄を設けるよう指示した。これを受けてバイエル社は同日、安全性速報(ブルーレター)を発表。医薬品医療機器総合機構(PMDA)はこの件に関する調査結果などを発表した。2010年11月の発売以来、同薬は推定で約18万7,000人の女性が使用したという。

関連記事:低用量ピルの副作用、海外当局はどのように対応?※こちらのリンクはただいま無効中です。

使用期間7日で死亡した例も

 厚労省とバイエル社によると、ヤーズの副作用と見られる症状で最初の死亡例が報告されたのは昨年6月。その後1年足らずで2人が死亡した。死亡した3人の概要は以下の通り。

  1. 2013年6月、20歳代女性、使用期間:7日、死因:頭蓋(がい)内静脈洞血栓症
  2. 2013年9月、10歳代女性、使用期間:526日、死因:肺塞栓(そくせん)症
  3. 2014年1月、40歳代女性、使用期間:約1年、死因:肺塞栓症・下肢深部静脈血栓症

 うち2人は足の痛みや頭痛などの体調不良を訴え,死亡前に整形外科や脳神経外科を受診していたという。

 バイエル社は2人の死亡が発生したことを受け,医療関係者への注意喚起やヤーズを服用している人に患者カードを配布するなど,血栓症が疑われる症状で医療機関を受診した場合にも緊急対応ができるよう対策を取ってきた。

 しかし今年1月、新たに1人の死亡例が報告された。そのため、PMDAが専門家とともに調査検討を行い、

  • 同薬との因果関係が否定できない死亡例が3例集積した
  • うち2例は死亡前に血栓症が疑われる症状で医療機関を受診したにもかかわらず適切な診断・治療が行われていなかった可能性がある
  • 2例は20歳代以下で血栓症の危険因子(喫煙,肥満,既往歴,家族歴など)がなかった

―点から,緊急案件に該当すると判断した。

添付文書に警告欄を新設

 安全性速報および添付文書に追加される警告欄の内容は次の通り。

【警告】 本剤の服用により,血栓症があらわれ,致死的な経過をたどることがあるので,血栓症が疑われる次のような症状があらわれた場合は直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと

  • 血栓症が疑われる症状
  • 下肢の急激な疼痛・浮腫,突然の息切れ,胸痛,激しい頭痛,四肢の脱力・麻痺,構語障害,急性視力障害等

 患者に対しても,このような症状があらわれた場合は直ちに服用を中止し,救急医療機関を受診するよう説明すること

 なお,低用量ピルを服用すると血栓ができるリスクが大幅に高まるとされており、ヤーズ以外の薬でも服用していた人の死亡が報告されている。そのため、日本産科婦人科学会は昨年(2013年)12月末から公式サイト※こちらのリンクはただいま無効中です。で、低用量ピルを服用している人に情報提供を行っている。

(編集部)

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